パナソニック ライフソリューションズ社は2021年2月1日、2021年度中に太陽電池の生産から撤退すると発表した。マレーシア工場を閉鎖し、島根工場での生産も終了させ、住宅用、公共・産業用太陽電池の生産を終息させる。
マレーシア工場は、2021年度中に太陽電池ウエハ、セル、モジュールの生産を終息させる。建物、土地などの資産については譲渡を検討しており、マレーシア工場の現地法人である「パナソニック ソーラー エナジー マレーシア」を清算する。従業員については、割増退職金支払や再就職支援などの対応を行うという。
島根工場についても、2021年度中に太陽電池セルの生産を終息させる。ただし、パワーコンディショナや蓄電池などの生産は継続し、太陽電池生産に関わる従業員は島根工場を基本とし、今後成長が期待される領域への異動により、雇用を維持するという。
また、生産撤退に伴い、二色の浜工場における太陽電池の研究開発機能も縮小する。
パナソニックは、今後も太陽電池の生産委託などによるパナソニックブランドでの国内販売を継続し、海外でも外部調達による販売を継続するとしている。
マレーシア工場は同社にとって太陽電池生産の主力拠点であった。しかし、世界市場で圧倒的なシェアを持つ中国メーカーとの熾烈な価格競争を前に劣勢を強いられており、2019年5月には、中国の太陽電池メーカーであるGSソーラーへのマレーシア工場の譲渡を含めた協業を発表。コスト削減や生産体制の最適化を目指していたが、工場譲渡が頓挫し、2020年7月にはGSソーラーとの協業契約を解消していた。
また2020年2月には電気自動車大手のテスラとの契約を解消し、米国バッファロー工場における太陽電池生産を停止しており、太陽電池事業の動向が注目されていた。
かつて世界市場で高いシェアを誇った日本の太陽電池メーカーは、厳しい状況が続いている。
三菱電機は2020年3月に自社生産からすでに撤退。京セラは、2021年第3四半期決算における太陽電池事業を含む生活・環境部門の売上高が15.5%減の458億円、事業利益は209億円の損失となった。
太陽電池メーカーであるソーラーフロンティアを傘下に持つ、出光興産の電力・再生可能エネルギー部門は、2021年中間決算で売上高が3.4%減の622億円、5億円の損失となっている。
国内メーカーは、太陽電池の生産から、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)や太陽電池、蓄電池、EVなどを組み合わせたエネルギーソリューション事業による成長を目指している。しかし、エネルギーソリューション事業は中国など海外勢も注力する分野でもある。
海外勢との価格競争に打ち勝ち、再浮上できるか。国内メーカーの試練は当面、続きそうだ。
参照
Panasonic プレスリリース 太陽電池の生産撤退について 2021年2月1日
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