RE100 FUJITSU(2) 富士通は2030年までの10年間で再エネ導入を加速させ、脱炭素社会を実現する | EnergyShift

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RE100 FUJITSU(2) 富士通は2030年までの10年間で再エネ導入を加速させ、脱炭素社会を実現する

RE100 FUJITSU(2) 富士通は2030年までの10年間で再エネ導入を加速させ、脱炭素社会を実現する

2020/02/08

ICTを活用し、自らCO2ゼロエミッションに挑む富士通。ヨーロッパでのRE100達成の過程で構築した技術やノウハウを提供することで、社会やバリューチェーンの脱炭素化、気候変動による損失と被害の最小化を目指している。
富士通グループは「2030年までの10年間でCO2削減速度を加速できなければ、地球の平均気温上昇を2℃、あるいは1.5℃未満に抑えることは難しい」という危機感を世界と共有している。 最大の課題が日本における再生可能エネルギーの普及・拡大だ。持続的な再エネ導入を目指す、富士通グループの取り組みについて、前回に引き続き、富士通サステナビリティ推進本部 環境統括部 環境リファレンス部部長 山崎誠也氏に聞いた。(全2回)

前編はこちら

日本の再エネ政策を前進させる

富士通グループにとって、CO2排出量の多くを占め、RE100対応の難しい国が日本になります。日本におけるRE100達成に向けたアプローチは、①最適なオプションによる再エネ利用の拡大、②再エネの普及に向けたソリューション提供・技術開発、③政策への関与です。

再エネ導入にはオンサイト発電、グリーン電力購入、電力証書購入のオプションがあります。しかし、太陽光発電によるオンサイト発電は順次導入していますが、導入可能な拠点や規模は限られています。また日本でも経済性があがってきているとはいえまだ採算的には厳しい。一方、コストアップ覚悟で再エネ電力や証書を購入しても継続性がありません。そもそもお金さえ払えば、RE100を達成できるという世界にはしたくない、という想いもあります。
したがって、それほどオプションが多いわけではない、というのが日本の現状なのです。

再エネの普及拡大をめぐる日本の課題は、送電側では系統制約の克服、発電側では発電コストの低減、小売側は安価な再エネメニューの創出など、それぞれの領域で課題を抱えています。

エネルギーはある種の国策でもあります。再エネを主力電源にすると第5次エネルギー基本計画に明記されましたが、2030年に目指すエネルギーミックス像では再エネの比率は22~24%のままです。主力電源にするという方針とこの数字は、果たして整合性が取れているのか、疑問があります。

証書にしても、ヨーロッパでは再エネ電力の環境価値を証書化し、その証書を購入してRE100を達成するというのが一般的です。日本でも同様に、安く証書化し、自動的に取引できる仕組みが必要ではないかと考えています。

日本全体として1.5℃目標、あるいは2050年までにゼロエミッションを目指すのであれば、エネルギー政策全体をどう設計し、いつまでにどのような市場をつくるのか。この明確なビジョンを国が示せば、そのターゲットに向かって民間企業は技術開発を進めることができます。企業間競争が促進され、新たなイノベーションが生まれ、持続的な再エネの普及・拡大につながっていきます。

このような問題意識から、日本における再エネ政策を一歩でも前進させようと、2019年5月、RE100を宣言した日本企業が集まり「RE100メンバー会」を発足し、政策提言も本格化させました。

繰り返しになりますが、2030年までにどこまで脱炭素化を進められるのか、この10年間の重要性は計り知れません。

私たちとしても、政策提言と並行してICTソリューションの提供や技術開発を強化しています。

プロックチェーンを使った電力取引でDR成功率を向上させる

日本では太陽光発電が急速に普及しています。しかし、出力変動が大きいため、電力の余剰や不足が発生してしまいます。その解消には電力需要と供給をマッチングさせる需給調整が必要になります。富士通グループでは2019年1月、ブロックチェーン技術を活用して、電力の需要家間で不足・余剰電力の融通を高速で行える電力取引システムを開発しました。

日本の調整力といえば火力発電が中心です。しかし、再エネの出力変動をCO2排出量の多い火力発電で調整し続ければ、脱炭素化は実現できません。そこで、再エネの出力変動を、電気を使う需要側の調整によってコントロールするデマンドレスポンス(DR)の活用が期待されています。
例えば、電力が足りなくなると予想されるピーク時間帯に、インセンティブを支払うことで需要家側に電力消費量を減らしてもらい、電力需給をバランスさせるというものです。

実際には再エネの急激な出力変動に対応して、短時間で節電対応をしなければならないケースも出てきて、対応が間に合わない需要家や、突発的な電力消費量の増加により要請に対応できないなど、DR制御の成功率が低い場合があるという課題があります。

例えばこうした例を考えてみるとわかりやすいかもしれません。
DRのアグリゲーターから節電要請を受けたB社が「自家発電機を起動したが、起動するまでの10分間電力が足りない」という状態になったとします。このままではDRは失敗してしまいます。このアグリゲーターの契約者にはC社もいるとします。C社には今回、節電要請をかけていませんでしたが、C社からは「10分程度なら、蓄電池にためた電力をB社に融通できるよ」といわれました。
ここで従来通り、アグリゲーターがC社に節電量や達成可否を確認していれば間に合わず、やはりDRは失敗です。
つまり、DRを成功させるためには、アグリゲーターが需要家それぞれに要請・確認せずとも、C社の余剰電力をB社に融通するしくみが必要になるのです。

そこで私たちは、アグリゲーターが介在せずに、C社の余剰電力をB社に融通し、B社の節電目標をクリアできるよう、需要家間での電力融通取引をブロックチェーン技術を使って開発したのです。

シミュレーションではDR成功率は最大で4割向上するという結果が出ています。DR成功率が上昇すれば、火力発電での調整や送配電網の増強をせずに、安定した電力供給が可能になります。さらに需要家側への成功報酬も高まるため、DRへの参加インセンティブにもつながります。

水素を活用したエネルギー貯蔵技術の開発も進めています。
九州エリアでは現在、太陽光発電が需要を上回るほど発電してしまうため、出力制御が実施されています。こうした余剰電力を最大限活用するため、宮崎大学、東京大学、住友電工と共同で、太陽光から得た電力で水を電気分解し、水素を効率よく製造する研究も進めています。2018年には水素変換効率18.8%(1日平均)を達成し、世界最高効率を記録しました。

今後もこのような研究開発に取り組み、再エネの普及・拡大に貢献していきます。

日本最大の脱炭素化を目指す企業・団体のプラットフォームを目指して

2019年10月には、JCLP(加盟企業数:132※)とRE100の中小企業・自治体版ともいえる「再エネ100宣言 RE Action」(参加企業・団体数:51※ 、以下RE Action)が参加する「脱炭素コンソーシアム」向けに、安価で利便性の高い再エネの利用拡大や脱炭素化に関するデータやノウハウの共有を目指し、データ流通・利活用基盤の提供を開始しました。
※2020年1月30日現在

JCLPやRE Actionの加盟企業や団体の中には、再エネ100%を宣言したものの、どのように達成すればいいのかわからない、あるいはどんな企業がどのようなソリューションを持っているのかわからないという企業や団体が多いのです。

私たちも、再エネや脱炭素化に関するノウハウや情報が効率よく収集できないという課題認識を持っていました。

メンバー企業が持つノウハウや情報を安全で手軽に共有できないか、あるいはどのメンバー企業がどんなデータ、ツールを持っているのか、こうしたことが一目瞭然となり、データのつながりから新たなビジネスやマーケットを創出できれば、各社の脱炭素経営が高度化します。何より情報ギャップを埋めることが、再エネの利用促進につながります。

そうした考えから、富士通はデータ流通・利活用基盤「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX」をプラットフォームとして脱炭素コンソーシアムに提供しています。

コンソーシアムで目指す取り組みのひとつが、再エネの需要・供給のマッチングです。

例えば、再エネを導入したい企業が所在地や消費電力量などの基本情報をプラットフォーム上に登録します。太陽光発電などの再エネを供給したい企業も、設置費用や電力プラン、料金体系などの情報を登録します。登録された需要と供給情報を自動でつなげ、マッチングさせるというものです。企業や行政、教育機関、病院などと供給事業者をマッチングさせることで、新しいマーケットの創出を目指していきたい。

もうひとつが、共創・協業の促進です。例えば、VPPの構築など1社単独では難しいビジネスモデルに対し、プラットフォーム上で参入したい企業やノウハウ、補助金などの情報を持つ企業、団体によるパートナーシップを構築することで、共創を加速させるというものです。

私たちは、JCLPやRE Actionの加盟企業・団体のみなさまと一緒に、日本で再エネが普及・拡大する仕組みをつくっていきたいと考えています。こうした仕組みをつくることができれば、結果的に富士通グループもRE100を達成できるでしょうし、同時にビジネスチャンスも広がっていきます。

脱炭素社会の実現とは、新たなイノベーションを生み出すチャンスでもあります。さまざまな企業や団体と連携を図り、イノベーションの創出に取り組んでいきます。

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山誠也崎
山誠也崎

1996年に富士通株式会社入社。入社後、携帯電話システムの開発に従事し、第三世代携帯電話システムの基地局制御装置の設計・開発を担当。2004年に環境本部に異動し、環境コミュニケーションの推進や、環境経営の企画立案を担当。富士通グループ環境行動計画の立案のほか、グリーンICTプロジェクトの立ち上げや環境ソリューションの企画・ビジネス推進を行う。現在は、富士通グループ中長期環境ビジョンで掲げた2050年ゼロエミッション、およびRE100の達成に向けてGHG削減や再生可能エネルギーの利用拡大に向けた企画やリファレンスモデル構築を推進。技術士(環境部門)

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