米国の電力需給管理サービスのスタートアップInnowattsは、Shellにサービスの提供を開始し、本格的なヨーロッパ進出の足掛かりとすることを発表した。背景には、Shellのベンチャーキャピタルによる同社のシリーズAの投資がある。
スマートメーターや電力市場価格、天候などのデータを通じて、需給管理や需給予測のソリューションを提供している米国のInnowattsが、AIを利用した需給予測ソリューションをShell Energy Europe Limited(Shell)に提供する。Shellは北ヨーロッパにおいて、Innowattsのサービスを提供する。
Shellはヨーロッパにおいて、エネルギー供給事業および温室効果ガスの排出権取引事業を行っている。今回の契約により、新たにInnowattsの需要分析と予測を活用し、需給管理を改善することに加え、Shellの顧客のCO2排出量に関する分析を提供、顧客の持続可能性に関する目標達成を支援するという。
Innowattsはこれまで、米国でおよそ4,000万件のスマートメーターのデータなどにアクセスし、需給予測や電力価格の予測に基づいた管理、ピーク回避などを行うプラットフォームを、SaaSで提供している。これにより、顧客は電力の購入コストを大幅に削減することが可能となっている。また、今年6月には、世界経済フォーラムから、2020年のThe Most Promising Technology Pioneersに選ばれている。
Innowattsは今回のShellとの契約については、2019年7月にヨーロッパに進出して以降、同地域での事業拡大の重要なマイルストーンであるという。
InnowattsのCTO(最高技術責任者)でヨーロッパ担当のゼネラルマネージャーであるDave Boundy氏は、「Innowattsにとってヨーロッパは最優先事項です。シリーズAラウンド以来、Shell Venturesと提携できたことを誇りに思います」と語っている。Shell Venturesは2017年に、他の2社(Iberdrola Ventures、環境エネルギー投資)とともに、Innowattsに合計600万ドルの資金を提供している。
(Text:本橋恵一)
参照
Innowatts "Innowatts to Partner with Shell for AI-Powered Demand Forecasting" 2020.8.27
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