地熱発電は地中から150度を超す熱水を取り出して、この蒸気でタービンを回し発電する。脱炭素の潮流を受け、世界でも電力の安定供給が可能な地熱開発が盛り上がっている。IRENA(国際再生可能エネルギー機関)によると、2020年末での導入量は1,400万kWを超え、この10年で4割増加した。
地熱発電にはシングルフラッシュ、バイナリー、高温岩体の3種類がある。
一般的な地熱発電として、日本でもっとも多く導入されているのがシングルフラッシュだ。
深さ数キロメートルにある火山帯に地下水が染み込んでいくと、地下水はマグマ溜まりで高温に熱され、この熱水を取り出し、蒸気でタービンを回して発電するのが、シングルフラッシュ方式である。もっともシンプルな方式として、日本最大の地熱発電所、九州電力の八丁原地熱発電所(出力5万5,000kW×2)も同方式を採用している。
出典:経済産業省
また、国内で23年ぶりとなる大規模地熱として2019年に稼働したJパワーの山葵沢地熱発電所(出力4万6,199kW)もある。
だが、シングルフラッシュには課題もある。それがスケールと呼ばれる熱水を輸送するパイプに沈着する物質だ。地下水には二酸化ケイ素や炭酸カルシウムなどが含まれており、これら物質がパイプに沈着し続けると目詰まりを起こし、熱水輸送を低下させてしまう。スケールによって輸送量が著しく低下すると、新たな生産井を掘削しなければならない。
Jパワーの山葵沢地熱発電所(秋田県)
出典:Jパワー
2つ目が100度前後の温泉熱を利用し発電するバイナリー発電。ただ100度では温度が低くタービンを回せないため、非常に気化しやすい代替フロンなどの熱媒を使うことで、蒸気をつくり、タービンを回すしくみとなっている。ただし、代替フロンも温室効果ガスの1種であるため、回収・冷却して液体に戻し、再び温泉熱で気化するという循環システムが導入されている。蒸発、冷却と2つの熱サイクルがあることから、バイナリー発電と呼ばれている。
比較的、小規模地熱が多いバイナリーだが、北海道函館市で6,500kWの地熱開発がオリックスによって進められている。
出典:日本地熱協会
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