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世界3位のポテンシャルを持つ日本の地熱発電 普及が進まない事情とは

2021年11月12日

海外では地熱スタートアップが登場

3つ目の方式が高温岩体発電。地熱は、地下に熱水がなければ発電できない、だが、熱はある。だったら、地中深くに水を送り込み、高温の蒸気にして取り出し、発電するのがこの高温岩体発電である。日本でも研究されてきたが長期安定性やコスト面で課題があり、研究が途絶えてしまった。ところが、北米では高温岩体方式を使ったスタートアップが登場している。


出典:ATOMICA

カナダのスタートアップ、Eavor Technologiesは、ループしたパイプを地上から地下約3,500メートルに設置し、パイプの中に水を循環させ、地中熱で加熱し、発生した蒸気でタービンを回して発電するという新たな技術を開発した。熱水は冷却され再び地下に送られる。

地下水を使わないため、スケール問題を回避できると注目を集めており、Eavorには石油メジャーの英BPや米シェブロンが投資をしている。

水ではなく別の熱媒を使う方式もある。

アメリカのGreenFire Energyの技術は超臨界CO2などの熱媒を地中に送り込み熱を取り出したうえで、蒸気をつくり発電するというもの。GreenFireにはJパワーが投資をしている。

同じくアメリカのFervo Energyも次世代地熱として注目を集めている。Fervoも水を使用しない高温岩体方式の開発を進めており、ビル・ゲイツのBreakthrough Energy Venturesなどから資金提供を受け、Googleと提携し、ネバダ州全域のデータセンターに電力を供給する計画だ。

高温岩体方式は1970年代にアメリカで実験がはじまり、日本でも検証されたが地下深くの岩盤層に人工的に水を循環させる貯留層をつくることが難しく、研究は途絶えた。しかし、日本とは対照的に、アメリカのスタートアップは次世代地熱として開発を進めており、石油メジャーやビル・ゲイツなどから多額の資金調達に成功している。気がつくと、アメリカが地熱技術を席巻するのではないか。そんな危機感さえ漂っている。

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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