地熱大国と呼ばれた日本は、地熱発電技術で世界をリードしている。
特にシングルフラッシュ方式では、富士電機や東芝、三菱重工の3社で7割近くのシェアをもつ。富士電機は2019年に稼働したインドネシアのムアララボ発電所(出力8万5,000kW)に蒸気タービンなど主要機器を供給するなど、地熱資源量世界第2位のインドネシアにおける蒸気タービンシェアは50%、受注量は世界トップシェアだ。さらに富士電機や三菱重工などは、バイナリー方式でのシェア拡大も目指している。
インドネシア ムアララボ地熱発電所
出典:富士電機
日本政府も、地熱開発に本腰を入れはじめた。
今年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画において、2030年度までに地熱を倍増させ、発電量を2019年度の0.3%から1%に引き上げる目標を掲げた。
日本地熱協会によると、現在、資源調査中の案件は83ヶ所あり、そのうち15ヶ所、合計出力12万7,000kWが開発中だが、148万kWという目標にはほど遠い状況だ。実現に向けては、地熱の新規地点開発が欠かせない。
経産省は環境省と連携し、2021年度から国立公園などの資源調査を本格化させつつある。地点調査に関しては、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が実施し、2022年度までに30ヶ所調査する予定だ。日本地熱協会は「JOGMECによる先導的調査など必要な方策が実現すれば、2030年ごろには140万kWの導入が見込まれる」と述べるが、あくまで方策が実現できればの話だ。
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