ありそうでなかった?! カリフォルニアの "イケてる" 私営電力会社3社まとめ PG&E、SCE、SDG&E その2 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

ありそうでなかった?! カリフォルニアの "イケてる" 私営電力会社3社まとめ PG&E、SCE、SDG&E その2

ありそうでなかった?! カリフォルニアの "イケてる" 私営電力会社3社まとめ PG&E、SCE、SDG&E その2

2021年04月08日

前回に引き続き、米国カリフォルニア州の3大電力会社(PG&E、SCE、SDG&E)を紹介する。カリフォルニア州の電力会社は、電源構成や文化的な背景から、独特の料金メニューやサービスを提供している。今回はPG&Eに焦点を当てる。

"イケてる" 米国の電力会社(4-2)
カリフォルニアIOU3社紹介 前編はこちら 後編はこちら

PG&Eのサービスメニュー

カリフォルニア州では、標準的な電力使用量の4倍を超える場合には高額な料金単価とすることが定められている。2017年1月から導入された制度で、節電を促す目的だ。

また、太陽光発電の多いカリフォルニアでは、ダックカーブ対策として夕方の電気料金単価が高く設定されている。これは2017年にSDG&Eが導入を始めた。

今回紹介するPG&E(Pacific Gas and Electric Company)、SDG&E(San Diego Gas and Electric Company)、SCE(Southern California Edison Company)3社の電気料金プランは、時間帯別(TOU)と段階制の2つに大別される。これらの基本的なプランのほかに、独自のオプションが設けられている点にも注目いただきたい。

まずは、PG&Eのサービスメニューを見ていこう。

オンラインで請求書や使用量を確認

PG&Eのユーザーは、オンラインで請求書や過去の使用量などをいつでも確認できる。1日の使用電力量を示すグラフには、居住エリアの気温も示されており、気温との相関関係もみてとれる。

下の画面では表示されていないが、「Similar Homes」という機能もあり、同エリアの同規模の家庭がどれくらいの電気を使っているかを示すこともできる。平均的な使用電力量と比べ、自宅の使用量が多いのか少ないのかを知るのに便利だ。

出所:PG&Eウェブサイトより 2021年4月8日にアクセス

家庭向けには以下の5つの電力プランが用意されている。

Time-of-Use Rate Plans

ピーク時とそれ以外で電力単価が異なる。ピーク時は「全日16~21時」「平日17~20時」の2パターンから選択できる。

Tiered Rate Plan

「Baseline Allowance」とよばれる標準使用量(kWh)に基づき、3段階の料金が設定される。Baseline Allowanceとは、同規模の住宅が同じ時季に使用する標準的な電力量をもとに算出される。この標準ラインまでが第1段階料金(Tier 1)、標準ラインの4倍までが第2段階(Tier 2)、それを超えると第3段階料金(Tier 3)となる。

Solar & Renewable Energy Plans

太陽光発電設備のない家庭向けに「Solar Choice」と「Regional Renewable Choice」がある。Solar Choiceとは、月々の電力使用量の50%または100%を太陽光発電による再エネにできるオプションだ。毎月の電力使用量が500kWhの場合、50%再エネで2.82ドル、100%再エネでは5.64ドルが加算される。1kWhあたりに換算すると1.13セントだ。

「Regional Renewable Choice」は、PG&Eの供給エリア内のコミュニティによる再エネ発電を購入できるオプション。PG&EがPPAによって調達するほか、需要家が直接再エネプロジェクトへ購入を申し込むことができる。需要家は年間の電力使用量の25%~100%の範囲で購入でき、価格の目安は5.35セント/kWhだ。

また、これから再エネ設備を導入する家庭に向けては、太陽光発電設備、太陽熱温水器、蓄電池などの購入とリースをサポートしている。資金調達のアドバイスや工事業者の紹介も行う。導入した設備からの電気を地域に供給・売電し、1年後に精算する「Net Energy Metering Aggregation(NEMA)」もある。

Electric Vehicle Base Plan

EV所有者には「EV2-A」と「EV-B」の2プランがある。「EV2-A」は、EV使用者専用の家全体の電気料金プランだが、「EV-B」はEVだけの電気料金であり家庭内で使用される電気には適用されない。いずれもピーク時とオフピーク時で料金単価が異なる。

「EV2-A」は、主に蓄電池を設置している家庭を想定したプランだ。「EV-B」では、EV充電専用メーターによってEV充電でどれくらいの電気を使ったかを把握できる。

EV2-A

EV-B



出所:PG&Eウェブサイトより 2021年4月8日にアクセス

SmartRate

「Smart Rate」プランは、夏季の電力使用量を抑えるデマンドレスポンスプランだ。気温が36.6℃を超えると、節電を要請するアラートが電話やメールなどを通して通知される。6月1日から9月30日の14~19時の間は電気料金単価が高くなり、年間9~15回のデマンドレスポンスが実施される。ペナルティなどはなく、需要家はいつでもキャンセルすることができる。

このほか、エアコンで自動的に節電する「SmartAC」というプログラムもある。

また、省エネについてはさまざまなプログラムが用意されており、LEDの販売から住宅改修、デマンドレスポンス事業者の紹介なども行っている。

カリフォルニアIOU3社紹介 前編はこちら 後編はこちら

山下幸恵
山下幸恵

大手電力グループにて大型変圧器・住宅電化機器の販売を経て、新電力でデマンドレスポンスやエネルギーソリューションに従事。自治体および大手商社と協力し、地域新電力の立ち上げを経験。 2019年より独立してoffice SOTOを設立。エネルギーに関する国内外のトピックスについて複数のメディアで執筆するほか、自治体に向けた電力調達のソリューションや企業のテクニカル・デューデリジェンス調査等を実施。また、気候変動や地球温暖化、省エネについてのセミナーも行っている。 office SOTO 代表 https://www.facebook.com/Office-SOTO-589944674824780

エネルギーの最新記事