11月26日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と日立製作所は、企業の脱炭素支援に共働で取り組むことを発表した。MUFGの顧客企業に対して、日立が有する様々な環境ソリューションサービスを提供していく。具体的には、各種環境データの収集から、二酸化炭素(CO2)排出量の算定、改善に至る一連の施策実行を日立が行い、株主等ステークホルダーからの開示やエンゲージメントの要請に対するサポートをMUFGが対応。再生可能エネルギーの導入支援や投資資金の融資につなげていく狙いだ。
日立製作所は2021年4月5日にサプライチェーン(供給網)のCO2排出量算定を効率化する新サービスを発表している。供給網全体を通して企業のCO2排出量削減に向けた取り組みを評価する動きが世界中で広がっていることから、スコープ3における排出量算定も重視されるようになっている。自社だけでなく取引先なども含めた排出量を算定するのは、複雑化しやすいため、そこの需要を満たす狙いだ。
MUFGは2050年までに投融資先も含めたCO2排出量の実質ゼロを掲げており、社会の脱炭素化に伴って、産業界に先行して気候変動リスクを分析してきた。金融機関の脱炭素は、取引先が排出量を削減できなければ実現できないため、日立の持つ技術やサービスが嵌った形だ。また、11月22日に、改正された銀行法が施行され、銀行によるITシステム販売を認められるようになったことも今回の取り組み開始に影響を与えた。
本協業の第1弾としては、2021年末ごろに三菱UFJ信託銀行の上場企業を中心とした顧客1,600社に対し、日立が開発した企業のCO2排出量を算出するシステムを提供することが報道されている。
MUFGは今後も日立の技術力やサポート、これまで培ってきたグループの知見を活かして、環境技術の取り込みを狙ったM&Aや設備投資を見据えた融資にもつなげていく狙いだ。
上場企業のコンサルティングも行う同行だが、顧客企業の企業価値向上をサポートするという言葉において、脱炭素の占める意味合いが大きくなっている。
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