経産省、半導体の国内製造基盤確保へ計画を公表 東芝、三菱電機、キオクシア、ルネサスらは半導体に大型投資の動きも | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

経産省、半導体の国内製造基盤確保へ計画を公表 東芝、三菱電機、キオクシア、ルネサスらは半導体に大型投資の動きも

2021年11月22日

国内の製造基盤の緊急強化に臨む

STEP1の「国内製造基盤の確保」。その代表例が、冒頭でも触れたTSMCの新工場に対する数々の支援だが、そもそもこの工場の建設自体が、経産省が主体的に誘致した結果であり、今回の生産基盤の緊急強化の一環だった。こうした有力半導体メーカーの国内誘致と、既存の国内工場への最新設備の導入や防火設備等の安全性の強靭化が、生産基盤の緊急強化の基本となる。

経産省は、有力半導体メーカーの誘致を行う理由として、あらゆる産業の風上に位置する先端半導体の安定供給を確保することが、国民生活への安全保障上、最重要であるためだとしている。TSMCの工場を例にしても、需給ひっ迫時には、増産要請に応じることが大前提だ。また、高性能な先端半導体の生産能力を確保し、先端技術を享受することは、産業基盤の強靭化や戦略的自律性の観点からも重要性が高い。そのほか、取引先となる国内部素材・装置メーカーや周辺半導体関連企業、周辺地域などにおける雇用活性化等の活況化を生むとしている。

つまり、有力企業の誘致は、①先端半導体の安定供給の確保②生産能力の確保による技術力の享受③取引先や周辺企業、地域の経済活性化の3つの観点から有用な戦略であるといえるのだ。

一方、既存製造基盤への最新設備の導入や安全性の強靭化は、①最新設備による生産性向上と②事故や災害といった外部不経済のリスクの予防、の2点が目的となっている。

既存工場への支援で、想定している半導体の種類は3種類。まず、5Gや自動車に用いられ、代替性が困難とされるアナログ半導体。次に医療機器をはじめとしたIoT機器や電化製品、自動車などに用いられる汎用ロジック半導体(マイコン)。そして、電動車や風力発電向け電力制御装置などに用いられ、カーボンニュートラルの観点から重要度の高いパワー半導体だ。

STEP2では次世代技術のための自国拠点を整えて海外企業とも連携・・・次ページ

高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

エネルギーの最新記事