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経産省、半導体の国内製造基盤確保へ計画を公表 東芝、三菱電機、キオクシア、ルネサスらは半導体に大型投資の動きも

2021年11月22日

日本の強みを強化し、オープンイノベーションで世界水準の発展を目指す

STEP3のグローバル連携による将来技術の開発は、2030年に起こると考えられている、半導体製造技術のゲームチェンジを見込んでのものだ。その対象となるのが、日本がこれまで先行してきた光電融合技術だ。

光電融合技術とは、電子によるデータ処理技術と光による通信機能を融合させる技術で、消費電力の効率化と情報処理性能の向上が期待されている。光電融合技術の研究に対してはグリーンイノベーション基金などを活用することで第3世代となる技術開発が進められている。さらに第4世代以降も技術開発を継続するために、持続的な支援を進めていく方針だ。

また、先端技術の開発を推進するために、オープンイノベーションも活性化させ、グローバル企業との産学連携が自律的に発展する体制の構築を目指す。それに際して、経済産業省のみならず、文部科学省、企業、大学、国の研究機関が連携する。グローバル企業ニーズと国内研究リソースを上手くマッチングさせたうえで、人材育成を行い、世界水準の研究環境を整えていく方針だ。

このようにして、次々世代に向けた基礎研究から、直近の実用化を見据えた研究開発を戦略的に推進するのがSTEP3だ。

ここで、経産省の示した3つのSTEPの流れを要約すると、STEP1「国内製造基盤の確保」によって、国内での半導体製造拠点の空洞化を防ぎ、生産基盤の確保を図った後、STEP2「次世代半導体技術の確立」で世界レベルの技術開発体制を整え、STEP3の「グローバル連携による将来技術の開発」により、世界に先行する日本の強みの強化やオープンイノベーションを行い、技術革新の優位性を作り出すという流れになる。

では、この一連の流れが最終的に行き着く先はどこなのか。その大きな目標の一つが日本の経済安全保障の確立であることは述べてきたが、もう一つ大きな目標がある。それが、カーボンニュートラルの実現だ。

世界の大きな潮流となっているカーボンニュートラルには、大量のパワー半導体が必要で、パワー半導体は、太陽光発電や風力発電などによる電力を系統網に乗せるために変換するだけでなく、EVの電力制御などにも用いられる。また、STEP1の既存製造基盤への最新設備の導入は、製造過程でのCO2排出量の明確化にもつながる。

半導体製造の強化は、それ自体が国力を上げることにつながるが、その成果が世界の潮流となっているカーボンニュートラルの実現を後押しするため、二重の国力強化につながるのだ。

企業側からも半導体生産に大型投資が続き、官民一体で機運が高まっている・・・次ページ

高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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