「脱炭素のまち」実現に向け、有力な手段のひとつと期待されるのが、一般消費者が初期費用ゼロ円で太陽光発電や蓄電池を設置できる仕組みだ。「ゼロ円ソーラー」などとも呼ばれるこのサービスに、都市ガス最大手の東京ガスが参入した。
「ゼロ円ソーラー」と呼ばれるこのサービスは、提供会社が戸建て住宅の屋根に太陽光パネルを無料で設置し、一般消費者は10年または15年という長期間、電気を使用する契約を結ぶというもの。
自宅の屋根で発電した電気を使えることなどから、電気料金は割安に設定されており、一般消費者は初期費用ゼロで、クリーンかつ、安い電気を使うことができる。
また、契約期間が終われば太陽光パネルを無償で譲り受けることができる。
一方、提供会社は長期間、電気料金を安定的に受け取れるうえ、太陽光発電で発電した電気のうち、余った電気は国の固定価格買い取り制度を利用して、他の電力会社に売ることができ、一般消費者、提供会社双方にとってメリットがある仕組みだとされている。
この「ゼロ円ソーラー」はメガソーラーなど大規模な太陽光発電所を建設するのと違い、森林伐採や景観を著しく損ねる心配もない。そのため太陽光発電のさらなる導入拡大に向けた有力な手段のひとつだと期待されている。
こうしたなか、東京ガスは5月27日、ゼロ円ソーラーサービスに参入すると発表した。提供するのは、太陽光発電と蓄電池を初期費用ゼロ円から、利用できる「あんしんWでんち」というサービス。クリーンで、比較的安い電気を使うことができるうえ、災害などの停電時でも電気が使えるよう蓄電池をセットにした。
東京ガスは2050年脱炭素の達成を目標に掲げており、再生可能エネルギー事業を新たな収益源にする方針だ。今回のゼロ円ソーラー参入もその一環と見られる。
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