2021年4月、佐川急便はSBSと同様にEVを導入していく方針を発表した。佐川急便が組んだ相手はクロステック(X-Tech)のベンチャーであるASFという会社だった。
ASFが、今回のSBSのケースでいうフォロフライに当たる。
導入される車両のプロトタイプはASFが企画・開発・製品管理などを行う一方で、製造を手掛けるのは広西汽車集団有限公司(グァンシー)という中国の会社だ。
この構図、ASFがファブレスで、広西汽車集団有限公司がOEMということで、今回のSBSと全く同じ構図になる。ASFが最終納品者になるという意味では日本車になるが、実質、中国製のEVと言っていいだろう。
導入台数だが、佐川急便は宅配事業で使っている全ての軽自動車7,200台をEVに切り替えるとしている。佐川グループの全車両台数が2万7,000台なので、3割近くがこれでEVに切り替わることになる。
当時発表された導入スケジュールは、2021年3月から走行性能や機能を検証するための実証実験に着手しており、早ければ9月中の量産開始を予定としていた。続報はまだないが、すでに時期的には製造が開始されている形になる。そして、1年の製造期間を経て、2022年9月から順次、首都圏などの都市部を中心とした佐川急便の営業所へ納車される予定というのがスケジュールとなる。
計画通りにいけば、2022年から本格的に実質中国製のEVが日本に入ってくる形になる。
しかし、一体なぜこのようなことが起きるのか? 疑問に思われた読者も多いだろう。そこで次に、なぜ、日本の物流企業は中国製EVを導入するのか。脱炭素経営を迫られる物流企業の構図を解説したい。
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