今回、日経なども「中国が商用EV対日輸出」という切り口で報道し、日本に競合がいないことを問題にした。
確かに、単品でみれば、日本のEV市場における競争力がないことを示す事案として問題視していい論点だと思う。商用EV戦線においても日本メーカーはもっと奮起をしてほしい。
ただ、それ以上に問題なのが、今回の事案が車製造の水平分業化を進めることにつながる、という論点だ。
元々、内燃機関車に比べて部品の点数も低く、また内燃機関車やハイブリッド車に比べて構造も単純だとされるEVは、水平分業をしやすいのではないかと指摘されてきた。
こうした点に注目をして、例えば日本企業でいえば日本電産などがモータ領域で世界シェアを取るべく焦点を絞って戦い、色々な企業にモータなどを売りにいっている。その中には、台湾の精密機械メーカー大手の鴻海精密工業なども含まれている。鴻海などはまさに、このEVの水平分業化の中でチャンスをうかがっている企業だ。
ちなみに、先述した佐川急便が導入するEVについては、日本電産がトラクションモータとインバーターを納入することが決まっている。
すでに足音を立てて、EVの水平分業の影は忍び寄っている。
これが起きるとどうなるか。伝統的な車企業が行っている垂直統合モデルとどちらがよりバリューを出せるのかという話になるのだが、水平分業で力をつけたOEM企業が出てくると、車の電動化は何もハードだけではないため、グーグルやアップル、中国でいえば百度などのIT系企業の参画を許すことになる。システムはそうしたIT企業が作り、そしてハードはOEMが担当するという格好だ。
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