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日本は本当に脱炭素後進国なのか? 化石賞受賞の誤解を解く:COP26を振り返る

日本は本当に脱炭素後進国なのか? 化石賞受賞の誤解を解く:COP26を振り返る

2021年11月15日

10月31日〜11月12日にかけて、イギリスでは気候変動対策を協議する国連の「COP26(第26回気候変動枠組み条約締約国会議)」が開かれ、連日、COP26関連のニュースが飛び交っていた。11月2日には、日本が脱炭素をできていない国に贈られる称号、化石賞を受賞したとして、多くのメディアが報道し、その結果、多くの誤解が生じている。日本は本当に脱炭素後進国なのか。元外交官であるゆーだいこと、前田雄大が日本の化石賞受賞の誤解を解くとともに、今後の動向について考察する。

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化石賞受賞は、それほど気にする必要はない

一言で申し上げれば、化石賞受賞自体は、そんなに気にする必要はない。理由については後段で詳しく解説する。

化石賞受賞を巡る報道は、全体像を伝えていないからか、多くの誤解が生じているように思えてならない。日本政府に対する誤解も生じているようだ。

そこで、今回は化石賞受賞について報道内容を交えながら解説したうえで、次の2つの論点について分析していきたい。

  1. 多くの人が疑問に思ったであろう「もっと他に受賞するべき国があるのではないか」という点について
  2. 化石賞にまつわる大いなる誤解について

それでは、今回の化石賞受賞について報道内容を交えながら紹介していきたい。

すでに日経、読売、朝日、東京など様々な報道機関が報じているが、これらの報道要旨は次のような内容だ。

  • 国際NGOの「気候行動ネットワーク(CAN)」は11月2日、気候変動対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本を選んだと発表した。
  • 理由として挙げたのは、岸田総理がCOP26におけるスピーチで、石炭火力発電の継続に言及したためだ。
  • 日本は2019年のCOP25にも化石賞を受賞しており、連続受賞となった。

各社、詳細を付け加えているが、基本はこの3つの観点を軸にして報道された。ヤフーはテレ朝の動画付きニュースを配信し、多くの反響があった。

その中で多かったのが、「他にももっと排出している国はあるし、この判断はおかしい」というものだ。

こうした意見については、「そりゃこの報道を受けたら、そう思うはずだ」と筆者個人も共感するところだ。そこで次に、多くの人が疑問に思った「もっと他に受賞するべき国があるのではないか」という点についてお答えしたい。

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前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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