日本の電力販売に革命をもたらすか オクトパスエナジーのクラーケンシステム、キーワードは「スピード感」 後編 | EnergyShift

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日本の電力販売に革命をもたらすか オクトパスエナジーのクラーケンシステム、キーワードは「スピード感」 後編

日本の電力販売に革命をもたらすか オクトパスエナジーのクラーケンシステム、キーワードは「スピード感」 後編

2022年03月18日

2月に実質グリーン100%メニューを含む料金体系を発表し、本格的に小売ビジネスを日本で始めるオクトパスエナジー。前編ではオクトパスエナジー日本CEOの中村 肇氏に日本展開の戦略や特徴をお伺いした。インタビュー後編では、オクトパスエナジーの強力な武器であるクラーケンシステムを中心にお届けする。

電力小売事業のユーティリティプラットフォーム、クラーケンシステムとは

テック会社でもあるオクトパスエナジーの一番の武器でもある、クラーケンシステムについて教えてください。

中村 一言でいうとユーティリティプラットフォーム。クラウドベースに小売事業で必要なありとあらゆる機能がひとつのシステムに統合されているものになります。

通常、一般の小売事業者が新しい電力小売の事業をはじめようと思うと、顧客管理システムをつくり、料金計算システムを別々につくる。請求するシステムはまた別のパッケージシステムの導入と、いくつものシステムを組み合わせる。このやり方では、立ち上げはクイックにできるが、実はメンテナンスが大変になる。例えば新しいプランを追加でいくつも作ったりすると、複数あるシステムの連携をいちいち直さないといけない。

公共料金や日本の電力会社の料金プランは、最初に作ってからほとんど変わらないのはこうした事情が大きい。最初に3つや5つつくったらそれでおしまい。

英オクトパスエナジーの開発したクラーケンは、ひとつのシステムの中に小売事業に関わるシステムがすべて内包されており、こうしたシステムを動かしながらメニュー改変もすぐできる。一週間で新しい料金メニューが3つも4つもできる。スピード感が特徴です。

システムはクラウドベースでできているので、スケーラブルなことも特徴です。一般的な公共料金型のシステムは、30万、50万件以上になると、オラクルやSAPのERPパッケージしかないといっていい。しかし使い勝手はよくない。クラーケンは100万件だろうが1千万件だろうが問題ない。

また、システムにはAIがはいっています。例えばお客様からコールがあるタイミングをずっとAIで観測、計測し、受付要員を、いつ、何名、配置すればお客様にスムーズに対応できるかがわかり、季節要因にも対応できる。接客履歴情報をテキストマイニングし、引っかかるキーワードを検出し、ウェブページなどの改善に使うことができる。

今は小売に特化したシステムになっているが、クラーケンは進化しています。英国でも開発が進んでいる。COP26の時にベルギーのグリッドカンパニーと、グリッドオペレーションもできるようにするという発表がされましたが、これからはエリア単位の需給バランスを整えるようなこともできるようになるでしょう。

イギリスではクラーケンだけの販売もあります。日本での予定はありますか

中村 ようやく日本向けにカスタマイズしたクラーケンができあがりつつある。うまくでき上がった暁にはもちろん、それをライセンスという形で他に提供することもあろうかと思う。ただ実績がないと、エネルギー会社は使わない。日本で使えるのか少し不安があると思うので、我々の実績作りが先です。

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小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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