国土交通省、空の脱炭素へ工程表を公開 JAL、ANA、日揮、ユーグレナ、IHIなど今後の動きに注目の企業を一挙紹介 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

国土交通省、空の脱炭素へ工程表を公開 JAL、ANA、日揮、ユーグレナ、IHIなど今後の動きに注目の企業を一挙紹介

2021年12月21日

国産SAF製造に向けた各社の動きは

各社のSAFへの取り組み一覧
参画企業原料状況・進捗
日揮HD、コスモ石油、JAPEX、レボインターナショナルプラスチックを含む産業廃棄物・一般廃棄物等日揮とコスモが2025年から大阪で生産を開始することを2021年7月に公表
東芝エネルギーシステムズ・東洋エンジニアリング・東芝・出光興産・日本CCS調査株式会社・全日本空輸(ANA)CO22020年2月、事業性調査を合同で行うと発表
三菱パワー・東洋エンジニアリング・JERA・宇宙航空研究開発機構(JAXA)木くず2021年6月、世界で初めて航空定期便に供給されたことを発表
IHI藻類2021年6月、生産したSAF羽田空港発のANAとJALの国内定期便に供給
ユーグレナ社ユーグレナ(ミドリムシ)2021年6月、ホンダの民間用航空機「HondaJet Elite」でのフライトを実現

各社の報道発表資料を基に編集部にて作成

現在、国内にSAFの商用生産を行う事業者はまだいない。しかし今年の1月、日揮ホールディングス・コスモ石油・石油資源開発株式会社(JAPEX)・レボインターナショナルの4社が合同で生産に乗り出すことが報道された。7月には、日揮とコスモが2025年から大阪で生産を開始することや、レボインターナショナルが食品工場や飲食店から回収した廃油を用いる算段であることも報じられている。年産は3万キロリットルを予定しており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成金を受ける手筈になっている。その後も生産拠点を増やし国内で2~3割のシェアをめざす。


コスモ石油HP「使用済み食用油を原料とした次世代航空機燃料の事業化検討を加速」より

廃食油以外を原料としたジェットバイオ燃料生産の動きも進んでいる。

JAL(日本航空)・丸紅・ENEOS・日揮の4社は、廃棄物の収集・処理システムの検討や製造プロセスの技術評価、製品のロジスティックスの評価、LCA(ライフサイクルアセスメント)によるCO2排出量削減効果の検証などを行なった。LCAとは、製品の製造、輸送、販売、使用、廃棄・リサイクルまでのサイクル間の環境負荷を評価すること。調査結果を踏まえて、4社は2020年代前半に実証設備の導入や試験実施を行い、2025年頃に商用機の着工を目指すとしている。

また、東芝エネルギーシステムズ・東洋エンジニアリング・東芝・出光興産・日本CCS調査株式会社・全日本空輸(ANA)の6社は、2020年12月2日に、排ガスなどに含まれるCO2をSAFに再利用する、カーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始している。

本プロジェクトは、東芝研究開発センターが開発したCO2を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を用いたP2C(カーボンリサイクル技術のひとつ)プロセスによるものだ。高いCO2削減技術を有するとして、環境省地球環境局が公募した「令和3年度二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」に採択されている。

植物由来というところでは、三菱パワー・東洋エンジニアリング・JERA・宇宙航空研究開発機構(JAXA)の4社は、木くず由来のSAFを精製し、世界で初めて航空定期便に供給されたことを今年の6月18日に発表した。JERAが調達した原料を三菱パワーの技術によってガス化し、それを東洋エンジニアリングが液体燃料合成・蒸留、さらにサプライチェーン構築を行った。JAXAは性能特性評価試験を担当した。

株式会社IHIと有限会社ジーン・アンド・ジーンテクノロジー、および株式会社ネオ・モルガン研究所は、IHI NeoG Algae合同会社を設立し、藻類バイオ燃料の研究開発に勤しんできた。同社は2017年で清算決了を行ったが、それまでに培ってきた積み重ねでIHIは、今年の6月には、生産したSAFを羽田空港発のANAとJALの国内定期便に供給したことでも注目を集めた実績がある。

また、植物を原料としたSAFということではユーグレナ社にも一家言ある。同社のバイオ燃料「サステオ」はホンダの民間用航空機「HondaJet Elite」でのフライトを実現したと発表。他にも、11月12日に広島港周辺で高速船の試験運行や、同月13・14日に岡山国際サーキットで開催されたカーレースでの走行を成功させている。

とはいえ、サステオは、1リットル当たりの価格が1万円程度と、非常に高額だ。フィンランドのネステ社が生産する廃食油原料のバイオ燃料が1リットル当たり200円以下というが、その比較を抜きにしても、高額といえるだろう。実際、同社の永田副社長も数年内に1リットル当たり200円以下の価格を達成したいと意気込んでいる。

サステオほどでないにしても、SAFはいずれもコスト面に問題を抱えている。実際、国土交通省は6月に開催された第2回目会合にて、低コスト化——具体的に2030年頃に1リットル当たり100円台まで低減することを国産SAFに関する検討事項に挙げていた。

そして、冒頭でも述べた、日本エアラインにおける年用使用量の10%を2030年までにSAFに置き換えるという目標は、そうしたコスト面を鑑みつつ、着実に普及を進めるためのマイルストーンとして設定されたものだ。

SAF導入のために必要なそのほかの動きとは・・・次ページへ

高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

エネルギーの最新記事