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国土交通省、空の脱炭素へ工程表を公開 JAL、ANA、日揮、ユーグレナ、IHIなど今後の動きに注目の企業を一挙紹介

2021年12月21日

SAF以外で、空の脱炭素に向けた取り組みは?

工程表で表されたその他のテーマについても見ていこう。②に関して国土交通省は、2020年12月策定の「グリーン成長戦略」における航空機の技術開発に係る工程表を踏まえ、国内製造事業者の認証活動のサポート及び認証を行うことを表明した。グリーン成長戦略の中身を一つずつ挙げれば

  • 装備品電動化・推進系電動化(ハイブリッド電動)の研究開発
  • 水素航空機向けコア技術の研究開発
  • エンジン効率化の研究開発(素材や設計等)
  • 機体構造向け炭素繊維複合材の研究開発

となる。

水素航空機向けコア技術の研究開発が2020年代後半まで掛かる予定であることを除き、グリーン成長戦略は2025年ころから、技術実証へと進んでいく計画となっている。

具体的な組織・企業名を挙げるとすれば、電動航空機におけるJAXAの「電動ハイブリッド推進システム技術」があり、2030年以降の民間機実装を目指すとされている。JAXAは水素航空機でも同時期の民間機実装を目指しており、宇宙用技術も応用して研究開発に臨んでいる。他にも、川崎重工が2035年以降の商用化を目指し、水素航空機用燃焼器等を開発中だ。


国土交通省HP「航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会(第4回)」より

また、②については「将来の航空交通システムの進展や技術開発の動向を見越しつつ、航空交通全体の最適化と航空路・出発及び到着・空港面における運航フェーズごとの改善策それぞれについて、短期的取組を実行に移すとともに中長期的取組を段階的に推進していく。」

という内容が基本方針となっている。燃費のいい上昇・降下の実現や、就航率の改善、迂回の少ない飛行ルートの選定や地上走行の最適化等が、具体的な施策として挙がっており、航空交通量の増大に対応しつつ、運航効率等の改善とCO2排出量削減を両立していく形だ。航空管制分野でのCO2排出量削減目標は10%となっている。

このように2021年12月現在で、空の脱炭素に向けた取り組みは企業の具体的な動きを視野に入れつつ、数年内の達成を目指している。

今後に向けては、令和4年度以降、適宜開催される予定の航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会にて議論が深められていく予定だ。

 

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高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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