次世代燃料としてアンモニア燃料船に期待 三井物産も2023年をめどに | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

次世代燃料としてアンモニア燃料船に期待 三井物産も2023年をめどに

次世代燃料としてアンモニア燃料船に期待 三井物産も2023年をめどに

2021年11月08日

海運や造船など海事業界での脱炭素をめぐっては、アンモニアを船舶燃料として活用する動きが加速している。国交省は10月26日、日本は2050年までに国際海運からの温室効果ガスの排出について全体としてゼロ(カーボンニュートラル)を目指すと宣言し、「脱重油」の動きがますます広がっている。

アンモニアは燃焼してもCO2を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されている。カーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢として位置づけられており、国内での年間需要は2030年で300万トン、2050年には3,000万トンが想定されている。

商船三井は11月4日、名村造船所および三菱造船と、アンモニアを燃料として航行する大型のアンモニア輸送船を共同開発することで合意したと発表した。

同社は「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」で掲げる2020年代中のネットゼロ・エミッション外航船の運航開始に向け、アンモニア船舶用燃料への転換も進めていく。

また、三井物産と飯野海運は10月14日、全長約160メートルの2万3,000m3型アンモニア運搬船の定期用船契約を締結したと発表した。韓国の造船大手の現代尾浦造船で2023年12月に竣工予定。三井物産が扱う、主に東南アジアから日本を中心とする北東アジア顧客へのアンモニアの輸送に使用する。

新たに導入する運搬船は、世界的な船級協会である米国American Bureau of Shipping(ABS)によるアンモニア燃料船化の基礎認証を受けて設計・建造される世界初のアンモニア運搬船となる。アンモニア燃料や、重油と比べCO2の排出が削減できるLPG燃料の切り替えにも対応する。

三井物産はアンモニア事業を約50年手掛けており、日本への輸入ではトップシェアで、主に化学や肥料用途として供給している。今回導入するアンモニア運搬船を、将来は日本向けのアンモニア燃料の運搬にも活用する予定だという。また、同社は燃料向けの「ブルーアンモニア」の製造に向けて、1,000億円超を投じ、西豪州でアンモニア製造プラントを建設するなど、アンモニアの供給網構築を進めている。

アンモニア燃料船を巡っては三井物産や伊藤忠商事などの大手商社を中心にして、アンモニア生産は活発化している。

丸紅も今年5月からIHIや、豪州の大手エネルギー企業Woodside Energyと組み、豪州タスマニア州で「グリーンアンモニア」の製造に向けた調査を進めている。日経新聞によると、海上輸送において、アンモニアを船舶燃料とするアンモニア輸送船による輸送も検討していきたいとしている。

国際エネルギー機関(IEA)の船舶の種類別燃料使用量割合によると、2050年はアンモニアが46%と、30年見込みの8%から急増する見通しだ。アンモニアがカーボンニュートラル化の早期実現の後押しとなることが期待される。

EnergyShift関連記事
サプライチェーンの脱炭素化に欠かせない海上輸送。アマゾンもゼロエミッション燃料開発に執心。海運大国・日本は?
日本の海運業界、温室効果ガス排出量実質ゼロへ

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

ニュースの最新記事