国交省、脱炭素に向け、住宅や建築物の新たな対策案を検討 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

国交省、脱炭素に向け、住宅や建築物の新たな対策案を検討

国交省、脱炭素に向け、住宅や建築物の新たな対策案を検討

2021年12月08日

国土交通省は12月7日、省エネルギー性能の高い住宅・建築物の普及を促す新たな制度案を示した。今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次報告)および建築基準制度のあり方についての報告案を検討した。

報告案では、脱炭素社会の実現に向けた、①建築物の省エネ性能の一層の向上、②CO2貯蔵に寄与する建築物における木材の利用促進、③既存建築ストックの長寿命化の総合的推進に向けた方向性などを示した。

新築建築物における省エネ基準への適合の確保に向けて、2025年度以降新築するすべての建築物に省エネ基準への適合を原則義務付けた。省エネ基準は、地域の気候条件の違いも考慮するなど、複雑な計算をしたうえで総合的に測られている。建築物の構造や窓まわりなどの断熱性能を高めて熱の出入りを少なくすること(外皮基準)に加え、住宅設備による消費エネルギーの違いなども加味する。

これまで新築建築物に対して、この省エネ基準を満たす必要があり、住宅については、小規模住宅で努力義務、マンションなど中・大規模住宅(300平米以上)には届け出義務が課されていたが、2025年度から原則として住宅を含むすべての新築建築物に対して省エネ基準の適合を義務づけることを明記した。

また、断熱改修・エコ住宅設備の設置工事のいずれかを含む一定のリフォーム(省エネ改修)を巡っては、高さや建ぺい率、容積率の制限に近い建築物で断熱や設備改修をすると高さ制限を超えるなどして、規制に抵触するおそれがあると指摘されていた。周辺環境への影響が小さければ、自治体の特例で認める仕組みを検討する。

建築物への太陽光発電など再生可能エネルギー(再エネ)導入拡大に向けては、自治体が効果的に導入できる区域を対象に計画を定め、建築主に対し再エネの導入効果などの説明義務を課すことができる制度を創設する。さらに、再エネを導入する際、自治体が認可すれば、建築物の高さなどの限度を超えて設置することも可能にする制度も導入する方針だ。

新築住宅については、2030年までに6割に太陽光発電を導入する目標を掲げている。家計の負担軽減に向け、住宅ローン金利など融資・税制優遇を受けられるようにする。

検討会のとりまとめでは、「将来における太陽光発電設備の設置義務化も選択肢の一つ」として、設置促進のための取り組みを進めることとした。具体的には、省エネ基準の段階的引上げを見据え、新築される住宅・建築物にZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)基準の水準の省エネ性能が確保されていることを目指す。現行の省エネ性能表示制度ではこうした基準を満たす等級がないため新たな区分を設けるという。建築物の販売・賃貸時における省エネ性能の表示制度の強化も図る。

CO2吸収源となる木材の利用策として木造建築物の普及も後押しする。建築物のライフサイクルを通じた CO2排出量を抑制するため、省エネ性能の高い建築物への建替えのみならず、省エネ改修や用途変更を進めることにより、既存建築ストックの長期活用を推進する。

国土交通省は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、設計・施工等に携わる関連事業者の取組や、住宅・建築物の省エネ化の進捗などの状況を踏まえ、制度の不断の見直し等を図っていくとしている。

 

EnergyShift関連記事

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

ニュースの最新記事