「相場の福の神」藤本誠之の 脱炭素銘柄こっそり教えます!第5回 カーボン・オフセット、水素 | EnergyShift

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「相場の福の神」藤本誠之の 脱炭素銘柄こっそり教えます!第5回 カーボン・オフセット、水素

「相場の福の神」藤本誠之の 脱炭素銘柄こっそり教えます!第5回 カーボン・オフセット、水素

2021年09月27日

「脱炭素×株式投資」をテーマにした人気企画。脱炭素ブームに乗り、事業の成長、株価の躍進を望める会社はどこなのか。マーケットアナリストの藤本誠之氏に、脱炭素投資ビギナーのマネーライターが聞いた連載もいよいよ最終回となった。今回は脱炭素の鍵となる「カーボン・オフセット」「水素」をキーワードに大化け期待大の銘柄をレポートする。テンバガーも夢じゃない!?

本文第一のキーワード「カーボン・オフセット」とは脱炭素に欠かせない取り組みのひとつで、カーボンは「炭素」、オフセットは「埋め合わせる」を意味する。

企業の経済活動や我々の生活にはCO2などの温室効果ガスの排出がつきもの。地球温暖化を防止するために温室効果ガスの排出量を認識し、まず削減に向けて努力する。それでも削減し切れない温室効果ガスについては、他の削減活動に投資するなどして埋め合わせる。これがカーボン・オフセットの考え方だ。

「カーボン・オフセットの活動は全世界で進み、日本の企業のあいだでも最優先課題になりつつあります。私が注目するのは、このカーボン・オフセットを企画から実行までトータル支援し、その他関連のサービスや今後、排出権取引に絡む新ビジネスを視野に入れている【エスプール】(東証1部:2471)です」(藤本氏、以下同)

エスプール(東証1部:2471)


2021年9月15日時点株価1,064円(最低購入価格106,400円)

同社の事業の柱は、コールセンター等への人材派遣と、障害者雇用支援のための農園運営。一方で2020年6月、気候変動対策のパイオニアとして知られるブルードットグリーン社の株式を70%取得して親会社となり、環境事業へと踏み出している。

「ブルードットグリーンはカーボン・オフセット事業の運営を目的に、2011年に設立されました。子会社化した時点で同事業において8年の実績とノウハウを持ち、環境配慮意識の高い大企業中心に約60社と取引していました。これを自社の経営リソースと組み合わせ、環境ビジネス領域での事業拡大を目指したのです」

エスプールでは、ブルードットグリーンが行う温室効果ガス測定やカーボン・オフセットなどを環境経営支援サービスとして打ち出している。加えて、排出権取引をビジネスチャンスと捉え、新事業を計画しているという。

「排出権取引もカーボン・オフセットと同じく、温室効果ガスの排出量を削減する取り組みのひとつです。企業や国などで温室効果ガスの排出枠をあらかじめ決めて、超過分を他の企業同士や国同士でそれぞれが持つ排出枠の権利(=排出権)を売ったり買ったり帳消しにするというもの。

エスプールはブルードットグリーンの買収を通じ、顧客として環境配慮意識の高い多数の企業をつかみ、その優良顧客に向けて排出権を売る仕組みを構築する計画を立てている。排出権取引市場は日本ではまだ未成熟なだけに、うまくいけば同市場をリードして躍進することが期待できます」

第2のキーワードは「水素エネルギー」。環境にやさしい次世代エネルギーとして、水素エネルギーも脱炭素に欠かせない。世界に先駆けて水素自動車を発売したトヨタ自動車などが関連銘柄の本命とされているが、藤本氏はLPガス、カセットコンロでお馴染みの【岩谷産業】(東証1部:8088)を挙げる。

岩谷産業(東証1部:8088)


2021年9月15日時点株価6,660円(最低購入価格666,000円)

「産業・家庭用ガスの専門商社である岩谷産業は、クリーンエネルギーとしての水素の可能性に早くから着目していました。1941年に水素の取り扱いを開始して以来、製造から輸送・貯蔵・供給・保安まで一貫した供給体制を全国規模で構築。日本で初めて商用の水素ステーションを開設し、液化水素では日本唯一のサプライヤーです」

水素ステーションとは、水素を燃料とする燃料電池自動車(FCV)などに水素を供給する施設。いわば水素版のガソリンスンドで、同社は水素ステーションの設置・運営を手掛ける。水素のシェアは70%で国内ナンバー1だ。

「水素は使用時にCO2を一切出さないクリーンエネルギーで、脱炭素の切り札として普及が期待されています。ただ現在国内で商用に製造・供給されている水素は製造時などにCO2を排出している。そこでCO2フリー水素の製造技術確立や製造コストの削減が求められており、岩谷産業はその課題を解決する先進的な取り組みを行っています。水素のリーディングカンパニーとして成長性は高いといえるでしょう」

水素ステーション関連として、【加地テック】(東証2部:6391)にも注目。同社は空気・各種ガスの高圧・超高圧コンプレッサ(圧縮機)を主力製品とし、設計から溶接、機械加工、組立、全品運転試験まで一貫して自社で行っている。

「加地テックは、燃料電池自動車用の水素ステーション向け超高圧コンプレッサ 『HyKom340』を商品化し、2020年度までに39ヶ所の水素ステーションに納入し順調に稼動しています。このコンプレッサは更なるコストダウン・コンパクト化・低ランニングコスト化に向けた次期モデルを開発・商品化し、2021年度に市場投入の予定です。水素ステーションへの納入・稼働を拡大させ、同社の業績向上に貢献することが望めますね」

今後も脱炭素をテーマに幅広く銘柄を選択し、お宝銘柄を見つけてほしい。

(取材・文 百瀬康司)

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藤本誠之
藤本誠之

「相場の福の神」の愛称で親しまれるマーケットアナリスト。ラジオNIKEEIで5本の看板番組を持つのをはじめ、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジスト、All about株式ガイドを務める。1965年生まれ。関西大学工学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)、マネックス証券、カブドットコム証券(現auカブコム証券)、SBI証券などを経て、現在は財産ネット株式会社にて企業調査部長を務める。 『<決定版>朝13分で、毎日1万円儲ける株』『株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術「はじめてのかぶしき――株のことをよくわからないけど始めたいあなたへ』『儲けに直結!株価チャートドリル』『ポケモンGO!は世界を救う』など著書多数。 出演ラジオ http://www.radionikkei.jp/fukunokami/  http://market.radionikkei.jp/ifudodo/  http://market.radionikkei.jp/tsuyomi/  ツイッター https://twitter.com/soubafukunokami?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor  ユーチューブ https://www.youtube.com/channel/UCKWACtKH6FESboA5ndrKalA  フェイスブック https://www.facebook.com/nobuyuki.fujimoto.3 

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