英国の電気事業者は大きく分けて、日本の一般送配電事業者に該当するESO(系統運用)、DNO(配電設備保有)、TO(送電設備保有)の3ライセンスに加え、国際連系線事業者、発電事業者、小売電気事業者などのライセンスが存在する。小売電気事業者ライセンスを取得している事業者は21年9月時点で166社存在するが、実際に供給を行っている事業者は限られており21年6月時点で49社が電力供給を行っている(電力供給専業が4社、ガス供給専業が5社、電力・ガス両方供給が40社)。
英国では長らく日本で例えると旧一電にあたるBig6と呼ばれる旧CEGB(中央電力庁)系の大手事業者が電力市場シェアの99%を占める状態が続いたが、議会で非難されたことをきっかけに規制緩和が進み、2010年に前日市場が開設されてから小売電気事業者の新規参入が進んだ。2018年3月には70社の事業者が電力・ガス供給を行っていたが、17年夏に新たに設けられた電力標準メニューに対するPrice Cap制度により事業者の淘汰が進んだ。Price Cap制度については、小売エネルギー事業者破綻の重要な要素であることから、後述する。
一方で新規参入事業者のOvo、Octopus Energy、Bulb Energyの3社は21年3月末時点で市場シェアの27%を占める規模まで成長、新規参入者のシェアは54.6%にまで達している。即ち、小売事業者数の減少局面でも新規参入者の市場シェアは増え続けており、新規参入者の間でも集約化が進んだことを示している。
図1 供給実績のある小売エネルギー事業者と新規参入者シェアの推移
記録的な電気・ガス料金の上昇と政府対応・・・次ページ
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