最終的に、電力供給力確保を担うのは、送配電事業者とOCCTOだ。中間とりまとめ案では、足元の供給力不足に対しては、送配電事業者が追加供給力公募で暫定的に対応するとしている。また、将来的な電源の不足に対しては、OCCTOが電源入札を行うことが考えられるという。実際には、今冬の電源不足に対して、OCCTOは発電事業者(大手電力会社の発電部門)に対し、休止中の設備の運用や修理・点検スケジュールの見直しなどを要請し、供給力の確保に努めてきた。
一方、発電事業者の役割は、容量市場に応札し、約定した電源については適切に運用することが求められる。
しかし、こうした形で送配電事業者やとりわけOCCTOが供給力確保をしようとしても、採算性が悪化した電源の退出の十分な防止とはならない。そのため、発電事業者が電源廃止にあたっては、十分な時間をとり、追加供給力公募の実施に合わせる形で、供給力不足が生じないようにする方針が示された(図2)。
図2 発電設備の廃止までの流れ
一方、容量市場そのものも、電源の確保について万全な制度ではない。容量市場の約定価格は毎年異なり、2024年度分と2025年度分の約定価格の差では、1kWあたりで1万円以上も開きがある。また、スポット価格が低迷すれば、やはり発電所の採算が悪化する。こうしたリスクがあれば、発電事業者側でも設備の廃止が検討され、参入も進まなくなる。そのため、電源への新規投資の確保に向けた制度措置、および容量市場の見直しなども検討していくべきとされた。
今回の中間とりまとめ案では、さらに2つの内容が盛り込まれている。
1つは、競争環境の整備に関連して、発電事業と小売り事業の費用の透明化の必要性についてだ。
発電設備を所有しない新電力と、発電設備をほぼ独占している大手電力会社との間で、実質的に共通の環境下で競争を行なえるようにするということだ。大手電力会社が市場に供給する電力の価格を割高に設定すれば、新電力は電気料金を高くせざるを得ない。しかし、大手電力会社の小売部門(みなし小売事業者)は電気料金を安くし、発電部門から補填すれば、より大きな利益が確保できる。これでは、共通の環境下での競争とはいえない。
こうした取組みについては、2022年度からの実施が適当であるとされた。
もう1つは、大型系統用蓄電池に対する事業規制についてだ。
太陽光発電や風力発電など、変動する再エネの大量導入にあたって、蓄電できるシステムのニーズが高まっている。とりわけ系統用蓄電池については、コストダウンによって大幅な導入拡大が見込まれている。しかし、蓄電池を活用した蓄電・放電を行なう事業については、現状では電気事業法上の扱いが不明確となっているという。
その点、類似する設備である揚水発電の場合、1万kWを超える等の発電事業者の要件を満たす場合には、発電事業に分類し、適切な事業規制を課している。系統用蓄電池についても、設備容量に応じて、発電事業として同様の事業規制を課していくべきだということだ(図3)。もっとも、家庭用蓄電池をとりまとめて1万kWの供給力にアグリゲーションするビジネスがこれに該当するのかどうかについては示されておらず、今後の議論となる可能性もある。
中間とりまとめ案は2022年1月6日から1ヶ月間、パブリックコメント公募に付された上で、最終決定される予定だ。
図3 大型系統用蓄電池のイメージ
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