11月12日、ミドリムシ関連製品を開発するユーグレナは、自社開発のバイオディーゼル燃料「サステオ」を使った高速船の試験航行を広島港周辺で実施した。試験渡航は瀬戸内海汽船とJR西日本、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、鉄道・運輸機構)と共同で行われた。
試験の目的は、内航船舶におけるバイオ燃料の利用可能性を探ることで、通常使用している軽油の一部にサステオを加えて航行させることにより、航行時の性能や燃料消費及びエンジンへの影響を確認した。試験結果については、鉄道・運輸機構から後日公表されるが、円滑な航行が実施できたとユーグレナが自社ホームページで報告している。
今回の試験航行は観光用の高速船「SEA SPICA(シースピカ)」(90トン)を使って実施。通常燃料である軽油にサステオを10%混ぜ、広島港周辺を約20分航行した。
サステオは使用済み食用油とユーグレナなどの藻類を原料として製造した燃料。燃焼時こそ二酸化炭素(CO2)を排出するが、食用油の原料である植物もミドリムシも、成長過程での光合成によってCO2を吸収するため、実質的にCO2排出量ゼロが達成できる。また燃焼時の温室効果ガスの排出量自体も、化石由来の燃料と比較して少ないほか、重油に比べて大気汚染を及ぼす硫黄分も含まない。
今回の試験によって、今後、内航船舶へのバイオ燃料利用の可能性が高まることが期待される。サステオは高価なため、早急な本格導入は難しい模様だが、瀬戸内海汽船は将来的な導入を目指していると報じられている。
また、ユーグレナは11月13日・14日に、岡山国際サーキットで開催されたカーレース「スーパー耐久レースin岡山」において、マツダの「MAZDA SPIRITRACING Bio concept DEMIO」にも、サステオを供給。こちらでは、軽油と混ぜない100%のサステオで、従来のディーゼルエンジンも十分な性能を発揮することを確認した。
機運が高まっているバイオ燃料の活躍の場が、広がろうとしている。
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