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バイオ燃料で空を飛ぶ 日揮ら4社、2025年までに廃食用油のジェット燃料を商業化

バイオ燃料で空を飛ぶ 日揮ら4社、2025年までに廃食用油のジェット燃料を商業化

2021年08月03日

CO2の排出量が多い航空業界の脱炭素に向け、石油以外の原料によるジェット燃料の商業生産が本格化する。日揮ホールディングスやコスモ石油など4社は8月2日、2025年までに使用済みの食用油を原料としたジェット燃料の本格供給を目指すと表明した。

日揮ホールディングスやコスモ石油など4社は、日本国内でまだ商業生産が確立されていないSAF(持続可能な航空燃料)の本格生産に乗り出す。まずはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から助成金を受け、使用済み食用油を原料としたジェット燃料の製造設備に向けた調査や、廃食用油の収集に向けた調査を実施し、2025年までに商業生産を目指す。

具体的には使用済み食用油の全国ネットワークを持つレボインターナショナルが原料油を調達。日揮ホールディングスがジェット燃料の製造設備を建設し、コスモ石油が製造、供給する。

「コスモ石油、生産プラントに数十億円投資」との報道も

鉄道などに比べてCO2排出量が多い飛行機に対し、欧州を中心に厳しい目が向けられている。

コロナ禍の影響を受け、航空機需要は世界的に減少するが、長期的には需要は拡大するとの予測がある。そのため、ICAO(国際民間航空機関)は「2020年以降、国際線の航空機でCO2排出量を増やさない」といった目標を掲げている。この達成に向けて欠かせないのが、SAFと呼ばれるバイオ燃料だ。

日本の航空会社もバイオ燃料の実用化に動き始めている。

ANAホールディングスは2020年11月に食品廃棄物などを原料とした燃料で定期便の運航を始めた。また、藻の一種であるミドリムシなどを原料にしたジェット燃料の活用も検討している。

日本航空は今年2月、古着を原料にした燃料でフライトを行うなど、航空各社は石油以外の燃料で航空機を飛ばす実証試験に取り組んでいる。

ただ、いずれのジェット燃料も商業化には至っていない状況だ。

こうしたなか、日揮ホールディングスなど4社は廃食用油を原料にしたジェット燃料の商業生産に取り組む。だが課題もある。廃食用油を大量に調達し、そのうえで安価に供給できるかだ。4社は2024年度までNEDOの助成金を受けながら、サプライチェーンの構築などを目指す方針だ。

一部メディアでは、「コスモ石油の堺製油所に数十億円を投じて、年産3万キロリットルの生産プラント建設する」と報じられており、バイオ燃料で航空機が飛ぶ日が近づきつつある。

 

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EnergyShift編集部
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