脱炭素社会の実現に向けた切り札のひとつとされる洋上風力発電において、全国で初めて促進区域に指定された長崎県五島市沖の開発事業者が戸田建設ら6社に決定した。6月11日、経済産業省と国土交通省が発表した。戸田建設などは浮体式の洋上風車8基を建設し、発電出力1.68万kWの開発を目指す。
経産省などは洋上風力を再エネ主力電源化の切り札と位置づけ、毎年100万kWずつ増やし、2030年までに1,000万kW、2040年までに3,000〜4,500万kW導入する目標を掲げている。
実現に向け、国は風況が良く、漁業者などの理解が得られた海域を洋上風力の「促進区域」に指定する制度、再エネ海域利用法を法制化し、促進区域を広げている。促進区域に指定されると、30年間洋上風力を行うことができる。
全国で初めて促進区域に指定されたのが、長崎県五島市沖の2,7000ヘクタール余りの海域だった。事業化に向け経産省などは発電事業者を公募していた。
6月11日、経産省と国交省は戸田建設のほか、ENEOSや大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力6社によるコンソーシアム、「ごとう市沖洋上風力発電合同会社」を発電事業者として選定した。促進区域での事業者決定は国内初となる。
コンソーシアムでは今後、公募占用計画の認定を受け、浮体式の洋上風車8基、合計出力1.68万kWの洋上風力を開発することになる。
国はこれまで促進区域として、五島市沖のほか、秋田県や千葉県などの5海域を指定し、洋上風力の拡大を目指している。公募には東京電力などの大手電力や大手商社のほか、海外の大手エネルギー企業なども高い関心を示しており、今後、他の促進区域でも事業者が決定される予定だ。
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