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英国、石炭火力発電の廃止を2024年に前倒し

英国、石炭火力発電の廃止を2024年に前倒し

2021/07/03

6月30日、イギリス政府は同国での石炭火力発電の廃止を、当初の2025年から1年前倒しして、2024年10月にすると発表した。これにより、イギリスは電力セクターの石炭使用量削減が大きく進むことになる。

石炭火力発電を10年で40%から1.8%へ

イギリスにおける10年前の石炭火力発電割合は40%だった。それが2020年にはわずか1.8%になっており、廃止時期を2024年に前倒ししても問題ないと判断した。

イギリスではCO2削減目標を2035年までに78%削減(1990年比)を掲げ、脱炭素が急激に進んでいる。すでに2020年のイギリスでは、石炭火力発電を使用しない時間が5,000時間に達している。2021年には国内エネルギーの3分の1強を風力発電に転換した。さまざまな政府支援や市場競争により、自然エネルギーのコストは下がり続けている。

2020年のイギリスの発電源をみると、43.1%を再生可能エネルギーで賄っている。内訳は風力24.2%、バイオ12.6%、太陽光4.2%、水力2.2%など。石炭は全体の1.8%、原子力は16.1%を占めている。

石炭火力の2024年への前倒しは、政府のアセスメント影響評価を経て決定された。発電用石炭の段階的廃止はイギリスの炭坑セクターに大きな影響を与える可能性は低いと政府は考えている。今年3月に行われた2024年から2025年の需要ピークに対応するための容量市場オークションに石炭火力発電所ははじめて参加しなかった。容量市場自体にも排出量制限が導入され、今後のオークション参加もできなくなっている。

ただ、今回の決定は発電用の石炭のみに適用され、鉄鋼業などの他の石炭消費、国内の別用途の炭坑には適用されない。

アン・マリー・トレビアンエネルギー気候変動大臣は次のように述べた。

「石炭は200年前の産業革命の原動力となりましたが、今こそ、この汚れた燃料をエネルギーシステムから完全に排除するための抜本的な行動が必要です。今日、私たちは世界中に明確なシグナルを送ります。それは、イギリスが石炭発電を歴史の教科書に載せることを牽引していること、そして私たちが世界をリードする野心的な気候目標を達成するために、電力システムの脱炭素化に真剣に取り組んでいることです。イギリスのネットゼロの未来は、自然エネルギーによって支えられており、この技術こそがグリーン産業革命を推進し、国内に新たな雇用を生み出すことになるでしょう」

世界で計画されている新規石炭火力の8割はアジア

一方、同じ6月30日にNGOのシンクタンク、カーボントラッカーは世界の石炭火力発電についての最新のレポートを発表。それによると中国で建設中のものを含め、新規に計画されている石炭火力発電所は初期投資を回収できないとしている。

世界で計画されている新規石炭火力発電所の8割は中国、インドネシア、ベトナム、日本を含むアジア5ヶ国で占められている。今年IEA(国際エネルギー機関)が発表したように「閉鎖したほうが安い」と定義する「座礁資産」に含まれる可能性が高い。

イギリス政府の関与する海外の化石燃料エネルギーへの支援は2021年はじめにすでに終了している。イギリスで始まった産業革命から280年、エネルギーは大転換する

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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