2050年カーボンニュートラルは可能だが、脱炭素化の加速を 三菱総研提言 | EnergyShift

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2050年カーボンニュートラルは可能だが、脱炭素化の加速を 三菱総研提言

2050年カーボンニュートラルは可能だが、脱炭素化の加速を 三菱総研提言

2021年6月28日、三菱総合研究所はメディア意見交換会において、「2050年カーボンニュートラル実現に向けた提言」を発表した。これによると、2030年の温室効果ガス46%削減や2050年カーボンニュートラルは実現可能だが、状況は厳しく、早期の対応が必要ということだ。

電力部門の早期ゼロエミ化を

メディア意見交換会では、「1.カーボンニュートラル達成の道筋」「2.行動変容によるカーボンニュートラルへの貢献」「3.カーボンプライシングの提案」の3つについてプレゼンテーションが行われ、参加した記者との間で意見が交換された。

カーボンニュートラル達成の道筋について説明したのは、政策・経済センター兼経営イノベーション本部主任研究員の志田龍亮氏。

志田氏によると、日本は発電量が多い上に火力発電の割合が高く、脱炭素にむけて置かれている状況は厳しいということだ。そのため、電力部門の早期ゼロエミ化を進め、火力発電については水素・アンモニア・CCUS(CO2回収・利用・貯留)による脱炭素化を早期に進めるべきだという。一方、再生可能エネルギーの大量導入も必要だが、再エネの増加によって無駄になる電力が増加するため、蓄電池や需要のシフトも必要となってくる。

また、2030年46%削減にあたっては、ブレイクスルーが必要だという。現状の延長では、2030年の削減は最大28%だが、電源構成の変化や省エネ強化、需要側の電化などで深堀が可能だ。それでもまだ4%の削減が不足するが、再エネの追加導入ないしは海外からの排出権クレジットの取得で対応できるとしている(下図)。

行動変容でカーボンニュートラル

サステナビリティ本部兼政策・経済センター主任研究員の小川崇臣氏によると、企業・消費者での再エネニーズが顕在化しているという(下図)。

三菱総研が実施したアンケート結果によると、企業では7割強、消費者でも4割強が再エネ電力によるコスト増を許容しているということだ。また、化石燃料から電化への移行については、消費者のおよそ4割が電気自動車への切り替え意向を持っている。

一方、企業においては、特にデータセンターについて、再エネが利用しやすい地域へ「すでに移転している」「移転する意向がある」「検討中」を合わせると約7割に達する。

こうした行動変容を通じて、およそ2億トンのCO2が削減可能となり、2030年46%削減が達成できるとしている。この日はこの他に、実効的なカーボンプライシングについての提案もなされた。

さらにブラッシュアップして社会に提言

三菱総研では7月1日にも、オンラインでカーボンニュートラルをテーマとしたオンラインによるセミナーを開催しており、そこではこのときの内容に加えて、デジタル地域通貨を活用した脱炭素などについても発表を行っている。

メディア意見交換会での提言に関して、シンクタンク部門副部門長で政策・経済センター長チーフエコノミストの武田洋子氏は、今回の提言について、ブラッシュアップしてあらためてリリースしたいという意向を示した。

また、自身は総合エネルギー調査会基本政策分科会の委員で、エネルギー基本計画についての議論も行ってきたが、武田氏自身は審議会で「行動変容によるCO2削減を重点的に訴えてきた」とした上で、今回の提言は直接基本計画に反映されるものではないと語っている。とはいえ、武田氏が言うところの行動変容がCO2削減に大きな役割を果たすことが示されたことの意味は大きいだろう。

(Text:本橋恵一)

EnergyShift編集部
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