マクドナルド(McDonald's Corporation・米)は、世界100以上の国と地域、37,000店舗を超えるファーストフード・チェーンを展開している世界トップクラスのグローバルカンパニーです。・・・さて、この米マクドナルドが、グリーン銘柄と、いったい何が関係あるのでしょうか? はたまた、マクドナルドは、ハンバーガー屋さんと思われがちですが、そのビジネスモデルの本質は何でしょうか? ざっくり、簡単に、まとめましたので、読んでみてくださいね。
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米マクドナルドは、時価総額16兆円の世界有数のビックカンパニーですが、実はここ数年、ずっと、債務超過なのです。低金利で借り入れた資金を使って利益を上回る自社株買いや配当を行い、資本を取り崩し、株主還元の戦略をとっています。
日本の上場企業では、債務超過に陥ると、ルール上、1年で上場廃止の危機が迫ってきますが、しっかりと稼ぎ出す力や未来の展望の見通しが見える企業は、株主還元に傾斜した財務戦略を大きく打つことができます。
私がカナダで勤務していた産業ロボット企業もナスダックのピンクシートに入っていましたが、びっくりするくらいの債務超過。私は、恐々とコントローラーをしていたのですが、技術者たちは、切迫感もなく平然と日々過ごし、5PMになるとちゃっかり家に帰っておりました。株主も余裕の振る舞い。文化の違いといいますか、完全に、日本とのビジネスビジョンのギャップを感じました。
さて、米マクドナルドの現在の株価は213.90ドル。開示されている最新の財務諸表は日本円換算で、資産5兆5,233億円、負債6兆3,445億円、資本▲8,212億円のびっくりの債務超過!ですが、売上2兆159億円、営業利益7,570億円で、実際に、キャッシュフローは十分に回っています。
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』というマクドナルドの歴史を振り返る人気のアメリカ映画を皆さんはご存じでしょうか? 1954年、シェイクミキサーのセールスマン52歳のレイは、ある日、ドライブインレストランから大量オーダーが入り、興味津々で向かうと、そこにはディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店マクドナルドがありました。その兄弟が、映画館の経営から身を起こし、事業の合理化を推し進めて、メニューも単純化した独自のファーストフードシステムを作り上げていった経緯を教えられ、その革新的なコンセプトに共鳴したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得し、契約を交わしました。
レイはイリノイ州の資産家たちへ、自分たちの存在をアピールし、出資をしてもらうために、マクドナルド第1号店をオープンさせるのですが、ゴルフや美食ばかりの富俗層の横柄な態度に失望。路線変更で、自営業者をはじめとする中流層に再アタックをすると、その目論見は的中し、中東部を中心に次々とお店を伸ばすことができました。
事業は拡大していくものの、その展開の速さに資金繰りが追いつけず、悪戦苦闘。ある日、レイは、銀行で融資の交渉中に、知り合った財務コンサルタントのハリーに出会います。会社帳簿を見てもらうと、ハリーは、深いため息をつきながら、「あなたは何の業界にいると思っています?」「あなたはバーガー屋さんではなく…不動産業界にいるのですよ!」と、このビジネスの本質を、レイへ説き始め・・・。
そうです、そこから、マクドナルドの快進撃は始まります。マクドナルドのビジネスモデルは、フランチャイズモデルを生かした不動産屋さんなのです。
米マクドナルドは、コロナ禍でも、気候変動対策を先送りにはせず、積極的に取り組んでいます。再生可能エネルギーへの投資を増やすことで気候変動対策に取り組むという意思を継続し、米マクドナルドは次々と仮想電力購入契約(VPPA)を締結しています。
2019年、米マクドナルドはテキサス州に位置する風力発電と太陽光発電の2つの長期VPPA取引を締結しました。さらに2020年には新たな案件(2つの風力発電所と1つの太陽光発電所)が追加されたことで、米マクドナルドは、これまでの米国企業の中で最も多くの再生可能エネルギーを全米の電力供給に与えることができると位置づけられています。
これらのアクションは、再生可能エネルギー分野におけるマクドナルドの継続的なリーダーシップと、米マクドナルドがサービスを提供する地域社会を支援することへのコミットメントを示します。もちろん、環境面でのメリットだけでなく、これらの投資が、プロジェクトが立地する地域コミュニティに雇用機会と税収をもたらすことにも期待が寄せられており、その中には短期雇用3,400人、長期雇用135人、税収3億6,000万ドルが含まれています。
レストランが再生可能エネルギーですべての電力を自家発電で賄えるとしたらどうでしょうか? 米マクドナルドは、年間のエネルギー需要の100%を賄うのに十分な再生可能エネルギーを自家発電するという、まさにそれを実現するために設計された、世界初のレストランの建設を完了しました。マクドナルドの世界的な旗艦店は、エネルギーと水の使用量を削減するためのソリューションをテストするための学習ハブとして機能し、米マクドナルドの持続可能なイノベーションへの継続的なコミットメントの証となります。
新しく改装された建物は、ディズニーの敷地の西側、ブエナ・ビスタ・ドライブに位置します。
マクドナルドの新しいネットゼロ店舗
いわゆる「買われすぎ、売られすぎ」の銘柄分析の観点において、相対力指数(RSI)を用いますと、簡単にトレースすることができます。RSIが70以上であれば買われすぎ、30以下であれば売られすぎを示し、RSIが50を超えると、市場のモメンタムはニュートラルになります。
株価213.90のMCD(米マクドナルド)株式の現在のRSIは51.74に設定されています。完全にニュートラルです。この銘柄の直近50日間の現在の移動平均は211.63で、直近1週間の取引では214.03、直近200日間の取引では205.86を記録しています。コロナ禍の中、市場からは大きな不安を感じさせることもなく、よく奮闘しているといえるでしょう。
ちなみに、現在、機関投資家の手には、MCD株の67%が保有されています。上位機関投資家は、VANGUARD GROUP INC.、BLACKROCK INC.、 STATE STREET CORP.などが占めており、それらは、配当利回りを獲得する戦略投資です。
米マクドナルド全体での売上額のうちフランチャイズ事業と直営事業の売上の対比は約1:3です。しかしこれを「利益率」の観点から見ると、米マクドナルドの場合、直営店の利益率は15%程度であるのに対し、フランチャイズ事業の利益率は85%にのぼり、実に、フランチャイズ事業からは全体利益の70%以上が生みだされていることになり、「マクドナルドは不動産ビジネスである」という言葉を、まさに、強く実感することができます。そんな背景で、株主からも、しばしば、フランチャイズ事業を本体から切り離して独立させるべきだという意見も出ます。
アメリカの主要500社のうち20社ほどが債務超過の状態にあります。ボーイング、スターバックスなども、米マクドナルド同様の債務超過です。いずれも、株主還元策の自社株買と配当の合計が純利益を上まわっています。アメリカの企業では財務の健全性よりも、稼いだ利益をしっかり、株主に還元することを優先する意識がとても強いのです。
債務超過に陥るとバンカビリティ(金融機関の融資)が落ちていく日本の金融の仕組みと異なり、米国では債務超過が、ただちに、経営の不安へとは結びつかないのです。しっかりと稼いだフリーキャッシュフロー(純現金収支)の黒字が継続していく見通しならば、借金返済を迫られる懸念は限りなく少なく見積もれるからです。
実に、米マクドナルドに関して、格付け会社も投資適格のトリプルBを付与しています。もっとも、歴史的な低金利の状態がこのような戦略的財務実行の背景にあります。米連邦準備理事会(FRB)による利下げや世界的な余剰資金を糧にして、現在、社債金利は過去最低ゾーンにあります。米マクドナルドやスターバックスは過去に例のない低金利(3%台)で30年債を発行しています。
借金を通じて株式よりも低いコストで資金を調達できれば収益拡大の可能性が広がります。
米マクドナルドは今後、爆発的な株価成長こそ望めそうにはありませんが、再生可能エネルギーに積極的な投資を行い、気候危機問題への取り組みを重要視している高尚な経営スローガンです。その上、安定した四半期ごとの配当と増配が予想されるため、積極的に買い増して、長期的視野の投資戦略を取っていくのも良いですよね。
参照
ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 映画公式サイト
McDonald's : We're upping our commitment to renewable energy in a big way, continuing to address climate change 2020.12.7
McDonald's : McDonald's Reports Fourth Quarter And Full Year 2020 Results
Mcdonalds Corp (MCD) SEC Filing 10-K Annual report
Technical Analyst Channel
Nasdaq:MCD Analyst Research
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