Google発のベンチャー、MALTAが5,000万ドル(53億円)の資金調達 調達元にも注目 | EnergyShift

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Google発のベンチャー、MALTAが5,000万ドル(53億円)の資金調達 調達元にも注目

Google発のベンチャー、MALTAが5,000万ドル(53億円)の資金調達 調達元にも注目

EnergyShift編集部
2021/02/26

GoolgleからスピンアウトしたMALTAは、蓄熱・蓄電のユニークな技術を持つスタートアップだ。この度、5千万ドルの資金調達を行ったが、そのラウンドメンバーにはビル・ゲイツ氏のブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズやAsanaのダスティン・モスコヴィッツ氏などがそろった。

Google発の蓄電・蓄熱技術ベンチャーMALTAとは

Googleは2010年に「Google X」という子会社を設立し、革新的な技術の開発に乗り出している(2015年にAlphabetの子会社となり、社名もX Developmentに変更)。同社は“完成への難易度は非常に高いが、もし実現すれば大きな効果をもたらすような壮大な技術”、いわゆるムーンショットの開発を目標としている。

自動運転車「Waymo」や、「Smart Glass(現GLASS)」もここの出身だ。X Development では事業家に一定のめどがついたプロジェクトを「卒業」させ、独立起業させている。

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卒業組のひとつに、MALTAというエネルギー関連の技術開発を行う会社がある。同社は2月24日、シリーズBラウンド、5千万ドル(約53億円)の資金調達を発表した。

このMALTAは、再生可能エネルギーを、高温の溶融塩を入れた大型タンクに保存できる蓄電技術を開発している。あとで使うときには熱エネルギーを電力に再変換する。理論的には、現在のリチウムイオン電池よりもはるかに長く、しかも安く保存できると言う。また、エネルギー変換時の熱損失についても、産業用熱源として商用利用が見込まれている。

MALTA Energy Storage
MALTAウェブサイトより

ラウンドに参加した投資家メンバーにも注目

今回の資金調達は、投資家メンバーにも注目したい。まず、主導したのはスイスに本社がある綜合エネルギー企業のPromoだ。日本では耳なじみがないが、米国、オマーンなど世界中に生産拠点を持ち、天然ガスの生産で世界をリードするエネルギー業界のコングロマリットだ。

そこに参加したのが、ブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ(Breakthrough Energy Ventures・BEV)だ。創設者はビル・ゲイツをはじめ、リチャード・ブランソン、ジェフ・ベゾス、孫正義などが名を連ねる。エネルギーベンチャーを世界中で支援するためにつくられた10億ドル以上の資金源を持つVCだ。投資対象は「温室効果ガスの排出を(最低でも)5億トン減らす」技術と「すでに科学的な概念実証が行なわれている」技術を掲げている。

さらに、アルファ・ラバルが参加している。世界100ヶ国で展開しており、売上高は5,500億円。熱交換、遠心分離、流体制御の技術では世界市場でトップになる。熱交換技術を持つアルファ・ラバルが今回のMALTAの熱源エネルギー利用の技術に着目したのはうなずける。

このブレイクススルー・エナジーとアルファ・ラバルは2018年のMALTAのシリーズAラウンドにも参加した(2,600万ドル)。

最後にもう一人、投資家のダスティン・モスコヴィッツ氏も今回のラウンドに参加した。ほとんどの方はこのモスコヴィッツ氏を知らないだろうが、彼はFacebookの共同創立者であり、マーク・ザッカーバーグのルームメイトだった人物だ。現在はAsanaというソフトウェア会社を上場させ、投資にも熱心なようだ。

世界のエネルギー関連の大物投資家の注目を集めていると言っていいだろう。

蓄熱はエネルギー移行において重要な役割を果たすと確信

MALTAのCEOであるラミャ・スワミナサン氏はリリースで「私たちの目標は変わりません。グリッドの安定性とレジリエンス(回復力)を向上させながら、再生可能エネルギーの拡大を加速させるスケーラブルな貯蔵技術を創出することです。投資家の皆様に当社の業績を認めていただき、このエキサイティングな新局面を遂行する能力を確信していただいたことに感謝しています」とコメントしている。

ブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズのカーマイケル・ロバーツ氏は「分散可能な再生可能エネルギーの活用は、長期間のエネルギー貯蔵技術に依存します。私たちは、MALTAのチームの進歩と、システムが世界の二酸化炭素排出量の削減に影響を与えることが間近なことに興奮しています」と述べた。

アルファ・ラバルのエネルギー部門の社長であるスザンネ・パーレン・オークルンド氏は 「蓄熱はエネルギー移行において重要な役割を果たすと確信しています。過去2年間、斬新な熱交換器の設計と開発にMALTAのチームと協力してきました。この技術と気候変動に与えるインパクトに、私たちは引き続き期待を寄せています」と述べた。

「(MALTAの)技術が確立され、応用することで、再生可能エネルギーへの移行をサポートするための長期貯蔵の展開が加速する可能性があります」と、ダスティン・モスコヴィッツ氏は述べた。

商業化への道は?

GTMによると、MALTAの商業化担当副社長のTy Jagerson氏は「商業化プロセスは順調に進んでいる 」とコメントしている。MALTAでは既にストレージの入札を予定しており、2024年か2025年に最初の商業プロジェクトを予定しているという。

10年前のクリーンテックバブルでは、ゲイツを含むVCは斬新なハードウェアとその工場建設に多く投資し、多くが失敗に終わった。現在ではサプライチェーンで実証済みの(MALTAのような)技術をうまく使い、新しい目的に役立てるようになっているとGTMは伝えている。

MALTAの紹介ビデオ

MALTA プレスリリース:Malta Raises $50M to Commercialize its Long Duration Energy Storage System 2021.2.24

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