2021年2月17日、カナディアン・ソーラーは、日本における再生エネルギー発電プロジェクトを加速させるため、マッコーリー・グループと提携し、出資額220億円の「ジャパン・グリーン・インフラストラクチャー・ファンド」を設立した。6年間の運用期間中に、機関投資家からの資金も加え、大規模な投資を展開していくという。
世界最大規模の太陽光発電会社であるカナディアン・ソーラーは、これまで日本においても積極的に再生可能エネルギーの開発を行っており、傘下には上場インフラファンドである「カナディアン・ソーラー・インフラストラクチャー・ファンド(CSIF)」を運営する投資法人を有している。
今回は新たに、オーストラリアの金融グループであるマッコーリー・グループと提携し、コミットメント出資額220億円となる「ジャパン・グリーン・インフラストラクチャー・ファンド(JGIF)」を設立した。投資会社として、シンガポール通貨庁の規制の下で運用を行う。
カナディアン・ソーラーとマッコーリー・グループの出資比率は、67対33となっており、マッコーリーはJGIFの財務顧問も務める。
PRESS RELEASE: Canadian Solar Closes Japan Green Infrastructure Fund with JPY22 Billion Committed Capital to Develop New Projects. https://t.co/tv3KoTPuka#MaketheDifference #GreenInfrastructure #Japan #JGIF #CSIF @Macquarie pic.twitter.com/QHxJm9Pqh3
— Canadian Solar (@Canadian_Solar) February 16, 2021
JGIFの目的は、日本国内で積極的に再生可能エネルギープロジェクトを進めていくことだ。
日本はこれまで、FIT(固定価格買取制度)を通じて太陽光発電の開発が進んできたが、カナディアン・ソーラーもその一部を担ってきた。また、CSIFは日本国内で上場している7銘柄のインフラファンドの1つで、時価総額も300億円を超える最大規模のインフラファンドとなっている。
現在、日本では、FITによる電力の買取価格は下がっており、大規模な案件については別の制度が適用されていく方向にあるが、脱炭素に向けた再生可能エネルギーの開発はまだまだ不足しており、カナディアン・ソーラーとしては引き続き事業のチャンスがあると見ている。収益化戦略を明確に持っているということだ。
JGIFは今後、新規プロジェクトの開発におけるSPC(特別目的会社)の匿名出資組合持分を通じて出資し、開発を推進していく。また、資金調達にあたっては、保険会社など機関投資家の資金やプロジェクトファイナンスの組成を行っていくが、出資にあたっての優先交渉権は、JGIFに与えられている。プロジェクトの一部が、JGIFのポートフォリオとして組み込まれていく可能性が高いということだ。
JGIFの設立にあたって、カナディアン・ソーラーの会長兼CEOであるショーン・クー博士は、「JGIFのより専門的な資本プールは、日本最大級の太陽光発電事業者として、またCSIFのスポンサーとしての豊富な実績を活用し、日本におけるクリーンで持続可能な高品質の太陽光発電プロジェクトの開発において、当社の競争力をさらに高めることになります。一方で、保険会社や資産運用会社を含む長期的な資本提携先には、利回りを求め、クリーンエネルギーへの移行を促進するために資本を投入することを期待しており、魅力的で安定したリターンを提供することが期待されています」と述べている。
また、資金としてグリーンボンドによる調達も検討しているという。
また、資本におけるパートナーシップを通じたファンドによる展開は、日本だけではなく、ラテンアメリカやヨーロッパでの展開も視野に入れており、今回のファンドの設立がグリーバルな開発プロジェクトを加速させるものになるとしている。
(Text:本橋恵一)
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