所有者がわからないまま放置されている土地に、小規模な再生可能エネルギーを建設することが可能になる。国土交通省は6月7日、再エネ拡大に向け、所有者不明の土地に小規模な再エネ電源や蓄電池設備を建設することを容認し、2022年度に法改正すると発表した。近く規制改革のひとつとして閣議決定される予定だ。
国交省も脱炭素社会の実現に向け、法改正に動き出した。
6月7日に開催された「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議(第8回)」で、国交省は少子高齢化などの影響で、誰の土地なのかわからず放置されたままの土地を活用する「所有者不明土地法」に、これまで対象外とされてきた1,000kW未満の小規模な再エネ電源や、蓄電池設備を追加すると発表した。
これまで所有者不明の土地を利用できる事業者は出力1,000kW以上の事業者が対象とされ、1,000kW未満の小規模な再エネ事業者は対象外とされていた。
2050年脱炭素に向け、再エネをめぐる規制改革を進める河野行政改革担当相は、赤羽国土交通相に出力1,000kW未満の再エネ電源でも、所有者不明の土地を利用可能とする制度改正を要望していた。
要望を受けた国交省では、放置された土地活用と再エネ拡大に向け、「小規模であっても、再エネの地産地消等に資する発電設備や蓄電池設備などの整備事業」も制度対象にするよう検討。今年12月をめどに詳細を取りまとめ、2022年度に法改正する方針を示した。
河野行革担当大臣の直轄チームである「再エネ等に関する規制等の総点検タスクフォース」は、再エネ拡大に向けた規制改革にさらに取り組む。
6月1日、首相官邸で開催された「第3回規制改革推進会議」において、河野大臣みずから菅首相に取り組み状況を報告。タスクフォースでは、風力発電の環境影響評価(環境アセスメント)に関し、対象となる事業規模を現在の1万kW以上から、5万kW以上に引き上げることや、地熱発電の拡大に向けた、自然公園を中心とした地熱発電の導入目標の策定。さらに地熱加速化のために、現在10年以上かかる開発リードタイムを8年程度まで短縮させる規制緩和を推進中だ。
菅首相は、「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、農地における太陽光発電の設置要件の緩和や、太陽光や風力などを新たに送電線に接続する際のルールの見直しなどによって、再エネ導入を大幅に加速させる」と述べた。
規制改革の一環として、所有者不明の土地活用とともに、環境アセスや地熱のリードタイム短縮などが、近く閣議決定される予定だ。
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