2月1日、経済産業省は、企業間でのCO2排出量取引が可能な、新たな市場の創設に向けて構想を示した。それが「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」だ。昨年8月に経産省がその思惑を明かしてから半年、ついに見えてきたその市場の狙いと背景について、本記事では解説していく。
当然ながら、GXリーグ基本構想は、GXリーグの実装に向けて詳細設計を示したものだ。どのような“世界観”“スケジュール感”“対象企業群”を想定して進めていくべきか、実証に向けた取り組みを進めるための基本的な指針が記されており、その後の準備をスムーズに進めることを目的としている。
では、そのGXリーグ自体の目的はどこにあるのか。最終的に目指すのは2050年カーボンニュートラルだが、今回の特徴は、そこに向けて企業の自主的な取り組みを促す点にある。そして、企業の自主性を促した先には、世界のカーボンニュートラル実現に貢献しつつ、国際ビジネスで勝てる企業群を産官学の連携で生み出そうという目論見があるのだ。
その達成は、企業の意識・行動変容が生活者の意識・行動変容を呼び起こすと共に、変容した生活者の意識・行動が企業にフィードバックされる循環構造の成立を指している。つまりは、カーボンニュートラルに向けた企業の取り組みや商品開発が、生活者にカーボンニュートラルは自分たちの生活を豊かにするという意識を与え、それによって更なる需要が生まれるという構造だ。その際、企業に対しては供給基盤の整備で助け、生活者には意識変革を起こそうとするのが官公庁の役目であり、企業の技術革新や生活者の教育浸透という土台形成に寄与するのが学校・教育機関の役目となる。
出典:経済産業省「GX リーグ基本構想」をもとに編集部作成
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