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途上国の再エネ支援に約1兆円 ベゾス氏やロックフェラー財団など、新団体立ち上げ

途上国の再エネ支援に約1兆円 ベゾス氏やロックフェラー財団など、新団体立ち上げ

2021年11月04日

米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が立ち上げた基金や石油王ロックフェラーが設立したロックフェラー財団などは11月2日、途上国の再生可能エネルギーへの移行を加速させるための新たな団体を立ち上げ、100億ドル(約1兆1,400億円)を投じると発表。英グラスゴーで開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で明らかにした。

新団体の「人と地球のためのグローバル・エネルギー同盟(GEAPP)」は、電力、気候、雇用が抱える3つの問題解決に同時に取り組むことを目指す。

  1. 電力:10億人の人々に再生可能エネルギーを提供する
  2. 気候:40億トンのCO2を削減する。
  3. 雇用:1億5,000万人の雇用を創出する。

GEAPPは、アジアやアフリカ、中南米など民間資本の参入が遅れている地域を中心に100億ドルを投じ、再生可能エネルギーの移行に向けた新たな戦略や技術を試す。今後10年で官民から1,000億ドルの投資につながるように取り組む。

ベゾス氏が設立したベゾス・アース・ファンドやロックフェラー財団、スウェーデンの家具世界最大手イケアの財団の他、世界銀行やアジア開発銀行などの8つの国際機関も参加している。

GEAPP調べによると、電力が届かないなどの「エネルギー貧困」に苦しむ国は現時点で世界のCO2排出量の25%を占める。世界人口の約半分を占めているにもかかわらず、クリーンエネルギー関連の投資を13%しか受けていないという。途上国で計画中や建設中の石炭火力発電所は2億4,300万kWある。これらの石炭火力発電所が建設された場合、今後数十年間で380億トンのCO2を排出することになり、これは昨年の世界の総排出量とほぼ同じになる。

途上国は経済面からも石炭火力から再生可能エネルギーに一気に移行するのは難しく、先進国の支援がカギとなる。

COP26では欧州各国や米国など増額を表明する国が相次いだ。岸田文雄首相は11月2日、COP26の首脳級会合で、途上国の温暖化対策支援として「化石火力をアンモニア・水素などのゼロエミ火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開する」と述べ、600億ドル規模の支援を表明。加えて、「新たに5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意がある」と発表した。

世界全体の排出量を減らすには、途上国の対策が欠かせないが、先進国の資金面での支援は遅れているとの指摘もある。先進国はすでに、途上国向けに2020年から5年間で年1,000億ドルの支援を約束している。だが、1,000億ドルの年間目標は2023年まで達成できないとの見通しが出ているほか、到達したとしても再生可能エネルギーへの移行実現には不十分だとの指摘もある。

先進国の支援と共にアジア全体でのゼロエミッション化が急がれる。

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EnergyShift編集部
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