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洋上風力発電 日本の本当のポテンシャルと開発競争の行方は

2021年10月22日

戸田建設の浮体式洋上風力

戸田建設では2018年から2,000kW(2MW)・1基の浮体式洋上風力発電を長崎県五島市沖で運転していた。2007年からの実証実験を繰り返し、日本で初めての浮体式の商用運転にこぎつけた。五島市沖の平均風速は7m/秒と風力発電に適している。

スパー式は重心が低く、安定性も高く、2012年の実証実験(五島市椛島)では大型の台風16号(中心気圧940hPa、最大風速53.3m、最大波高16.9m)にも耐えた。五島市沖の水深は100から150mと深く、スパー式には都合がよかった。

このように、水深が100m以上の水深ではスパー式が有利な一方、100m未満では設置が難しい。セミサブ式では40mから設置が可能だ。昨年実証実験を終えた福島沖の実証実験ではセミサブ式も試験された。


日本の浮体式洋上風力発電に対する期待と展望 浮体式洋上風力発電推進懇談会

スパー式を選んだ戸田建設は、再エネ海域利用法に基づいた第1号案件である「長崎県五島市沖」の開発事業者に6社でのコンソーシアム「ごとう市沖洋上風力発電合同会社(仮称)」で選ばれた。2MWの風車8基を設置し、1.68万MWの発電を目指し、建設を進める。

この浮体式洋上風力の課題はコストだ。戸田建設ではスパー式の事業を拡大するとともに、施工技術などでコスト削減を図るとしている。

世界の洋上風力発電コストは8円/kWhで日本の火力発電よりも低い。戸田建設では発電コスト9円/kWhを目指す。

また、世界の洋上風力発電の大型化にどう対応するかもこれからの開発になる。前出のスコットランドキンカーディン洋上風力は9.5MWの風車になる。東芝がGEと共同開発した洋上風車「Haliade-X」は12MW、ブレードが107mと大型だ。

洋上風力発電の普及には課題が山積み・・・次ページ

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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