小泉進次郎環境相は9月24日の閣議後会見で、洋上風力発電の環境影響評価(環境アセスメント)にかかる期間を最大2年短縮する事業を始めると発表した。
環境アセスメントとは、大規模な開発事業などを実施する際に、事業者があらかじめその事業が環境に与える影響を予測・評価し、その内容について、住民や関係自治体などの意見を聴くとともに専門的立場からその内容を審査する一連の手続きをいう。
洋上風力の現地調査には年単位の期間がかかるケースも多く、環境アセスメントの期間が延びて運転開始が遅れるという課題があった。環境省は開発期間を1~2年短縮し、2030年度までに一部で先行して運転を始められるようにする。
具体的には、洋上風力の建設が見込まれる海域で、事業者が決まる前から必要なデータ収集や調査の一部を環境省が事業者に代わり実施。成果は環境アセスの基礎データとして事業者に提供する。これにより、事業者は一から調査しなくて済む。
小泉進次郎環境相は「2030年までに見込んでいる洋上風力の導入拡大に貢献する」と述べ、洋上風力発電所の整備迅速化に向け、有力海域のデータ収集に着手すると明らかにした。来年度からの実証調査に向け、経産省や国交省とも連携し、実施海域の選定や海外事例の分析などを今年度後半から進める予定。
2030年度までに運転開始する事業を増やすことで、2013年度比で温暖化ガスの排出を46%削減する政府目標の達成をめざす考えだ。
9月17日の閣議後会見で小泉氏は、高市早苗氏の掲げるエネルギー政策に「全力で戦う」と異論を唱えた。これを巡り、自民党総合エネルギー戦略調査会の山本拓会長代理が21日、「総裁選への越権介入」として小泉氏に公開質問状を送付したことでも話題となった。
時事通信社の報道によると、高市氏は、2030年度の発電量のうち36~38%を再生可能エネルギーとする政府のエネルギー基本計画改定案を「日本の産業が成り立たない」と指摘。首相になれば修正する意向を示している。小泉氏は、これについて会見で「原発か再エネかの対立構図」と対決姿勢を強調した。
9月24日の閣議後会見で、小泉氏が再エネ推進を一層強化する方針を示し、今後の展開に注目が集まっている。
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