2021年3月24日、米国エネルギー省(DOE)の研究所の1つ、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は、ロサンゼルス市が2035年および2045年に再エネ100%を達成する道筋を示す分析結果を発表した。ロサンゼルス市は2045年再エネ100%という目標を設定しているが、2035年に前倒しすることのメリットは大きいという。
米国カリフォルニア州ロサンゼルス市は、気候危機に対する公平で経済的な地域の解決策を見つけるために、ロサンゼルス市の電力供給を変革するという野心的な目標を設定し、2045年までに100%再生可能エネルギーの電力システムを目指しており、建物や運輸部門の電化を推進している。
2016年から2017年にかけて、エリック・ガルセッティ市長とロサンゼルス市議会は、ロサンゼルス市を2045年までに再エネ100%にしていくクリーンエネルギー目標を設定した。発電、送電、配電システムを所有する垂直統合型の電力会社であるロサンゼルス水道電力局(LADWP)は、この目標をどのように達成できるかについて、前例のない規模と初の試みを行っている。
実際に国内最大の自治体公益事業であるLADWPは、現在、電力の半分以上を再生可能エネルギーやゼロカーボン資源で発電している。LADWPは、目標を実現するにあたって、仕事、電気料金、環境、および環境正義への影響がどのようなものなのか、米国エネルギー省(DOE)の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の専門家に分析を依頼していた。
今回の分析は、「ロサンゼルス100%再生可能エネルギー研究(LA100)」というタイトルでまとめられた。
NRELの分析によると、風力、太陽光、蓄電、その他の再生可能エネルギー技術をこの10年間で急速に導入することが可能であるという結果となった。エネルギー効率化、電化、デマンドレスポンスの組み合わせは、温室効果ガス削減や公衆衛生に大きな効果をもたらし、クリーンエネルギーへの移行をコスト効率よく管理するのに役立つという。
LA100の分析では、具体的な政策やプロジェクトの提案はしていないが、今後10年間で信頼性や温室効果ガス削減の効果を得るために、市が今から検討できる後悔しない投資を挙げている。すなわち、市内外での新たな太陽光発電、風力発電、バッテリー、送電の導入と、これらの投資をより効率的に活用するための地域の配電システムやスマートグリッドの運用方法の改善が挙げられている。
また、今回の分析では、ロサンゼルス市の再エネ100%にいたる経路を明らかにするだけでなく、規模の大小を問わず他の自治体が同様の分析に着手し、2035年までに米国の電力セクターを脱炭素化するための国家的取り組みに貢献する可能性を示している。
NRELは、今回の分析にあたって、南カリフォルニア大学、コロラド州立大学、Kearns&Westのパートナーと協力している。また、NRELのスーパーコンピューターを活用して、詳細な電力需要モデリング、電力システムへの投資と運用分析、経済的影響分析、配電網モデリング、ライフサイクル温室効果ガス(GHG)排出分析など、NRELの研究プログラム全体でさまざまな機能を活用した。
さらに、アナリストは、今回複数のステップとフィードバックループを備えた新しいアプローチを開発。また、NRELの分散型電源市場需要モデル、資源計画モデル、再生可能エネルギーポテンシャル地理空間モデリングツールなど、さまざまなタイプの12を超える個別のツールまたはモデルを開発している。
こうしたツールを活用した詳細な分析は、今後、他の都市にも適用できるものになるということだ。
Pioneering NREL Analysis Empowers Los Angeles in Its Pursuit of 100% Renewables
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