政府は6月9日、脱炭素社会の実現に向け、今後5年間で政策を集中的に実施し、2030年までに100ヶ所以上の「脱炭素先行地域」をつくり出し、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするといった「地域脱炭素ロードマップ」をまとめた。
国と自治体が協議する「国・地方脱炭素実現会議」の第三回会合が6月9日、首相官邸で開催され、2050年の脱炭素社会実現に向けた工程表、「地域脱炭素ロードマップ」がまとまった。
ロードマップでは、今後5年間で政策を集中的に実施し、2030年までに一般家庭や企業などの電力消費に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素先行地域」を全国に100ヶ所以上つくり出す。
脱炭素先行地域は都市部や農村、漁村、離島などを想定しており、都市部には屋根上太陽光発電、農村部ではバイオマスや地熱発電、離島などでは洋上風力発電など、地域の特性にあった再生可能エネルギーを導入し、脱炭素を実現する方針だ。
実現に向けて菅首相は、「国から地域への資金支援(例えば、交付金や基金など)を抜本的に見直し、複数年度にわたる新たな制度をつくる」と述べた。
そのうえで、「再エネを進めることは、地域の活性化の大きな可能性を秘めており、国と地方が一体となって、地域の資源である再エネを活用した脱炭素化を進め、雇用の創出や国土強靭化にもつなげる」と述べた。
環境省では、人口1,000人の地域を先行地域に想定した場合、設備投資で40億円から100億円程度、再エネの売り上げや省エネのコスト削減により、年間3億円から5億円程度の経済波及効果があると試算する。
小泉環境大臣は、「地域の特性を活かした多様なアプローチで先行地域が広がる「脱炭素ドミノ」を巻き起こしたい」と述べ、多くの地域で2050年を待たずに脱炭素を実現させたい考えだ。
さらに、小泉大臣は、会合で菅首相が「一部の自治体のふるさと納税で再エネ電気を返礼品として扱う動きがあり、ルールを整備することで、全国で再エネ需要を拡大させる」と述べたことにも触れ、「地域の再エネをふるさと納税の返礼品にできることも明確化できた」と述べた。
再エネふるさと納税については、総務省が精査し、近く正式に認める予定だ。
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