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中国の仮想通貨禁止にイーロン・マスク「愛してないのかな」

中国の仮想通貨禁止にイーロン・マスク「愛してないのかな」

2021年10月01日

中国が9月24日に通達した仮想通貨禁止について波紋が広がっている。9月28日にアメリカの技術カンファレンス「Code Conference」にゲストスピーカーとして出席したイーロン・マスクは「中国は仮想通貨を愛していないようにみえる」とコメントした。

中国人民銀行らの打ち出した措置は、銀行や金融機関が仮想通貨に関連するサービスを提供することを禁じたものだ。取引自体やマイニングはもちろん、中国国内に居住し、中国向けにサービスを提供している海外の仮想通貨取引所のスタッフ、テクニカルサポート、マーケティング、決済に関わるスタッフも調査対象となり、違法となった場合は法的措置がとられる。

通達には中国人民銀行だけではなく、中国サイバースペース管理局、最高人民法院、最高人民検察院、公安部が加わっている。仮想通貨への禁止通達はこれまでも行われてきたが、今回の通達はこれまでになく厳しく、本気での取り締まりが行われるようだ。

イーロン・マスクが語ったこと

これに対し、9月28日に行われたテックカンファレンスにスピーカーとして参加したイーロン・マスクは「中国は仮想通貨を愛していないようにみえる(It would appear they don’t love cryptocurrency)」とコメントした。

続けて「仮想通貨は根本的には中国政府の力を削ぐことを目的にしていて、それを好まないのだろう。一部は電力不足と関連しているかもしれないが」と答え、マイニングにかかる電力は今回の禁止措置と大きく関わっているのではないとの見方を示した。

米政府が仮想通貨を管理すべきかを問われると「仮想通貨を破壊することは不可能だが、政府が(進捗を)減速させる(slow it down)ことは可能だ」と述べた。そして、「(アメリカ)政府は何もすべきではない」と述べた。

「わたしは決裁やお金の仕組みについてよく知っているが、経済学者が思っているのと反対のことを知っている。貨幣システムはほとんどの場合、異種のデータベースであり、遅くて安全ではない。ACHシステム(小口決済システム)には基本的にセキュリティがない」とも述べた。イーロンマスクはPayPalの前身となったX.comを起業している。

そして、米中関係を現在は「特に」心配していないという。「私たちの中国の工場はとてもうまくいっている。中国市場向けだけでなく、ヨーロッパへの輸出向けの車も問題ない」と述べた。

カンファレンスでは、他にもバイデン政権の労働組合優遇などにもコメントした。

中国は仮想通貨を愛するのか

中国は、仮想通貨は市場に流通できない資産であるとしている。それにも関わらず中国国内の利用者は急増しており、経済や金融秩序が乱され、「マネーロンダリング、違法な資金調達、詐欺、ねずみ講、その他の違法・犯罪行為」が急増しているという。

中国人民銀行は「国民の財産を保護し、経済・金融・社会の秩序を維持するため、仮想通貨の投機、関連する金融活動、不正行為を断固として取り締まる」と声明で述べた。この声明でビットコインは一時5%以上値下がりしたが、今は持ち直している。

中国政府の仮想通貨に関しては、2014年から中国政府による「デジタル人民元」プロジェクトが進んでいることがわかっている。今回の禁止措置に対しては、デジタル人民元プロジェクトの進捗が関わっているのではないかという報道もある。

中国が仮想通貨を「愛している」かどうかは、近い将来にわかりそうだ。

EnergyShift編集部
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