当たり前だが、アメリカはきっちり対応している。中国とはデジタル戦争を繰り広げているというところもあるのだが、もちろん、それだけではない。
まず、2019年5月に、当時のトランプ大統領は、同国の安全保障にとってリスクのある外国企業の通信機器を、米企業が使うことを禁止する大統領令に署名した。この時点でどこか特定の企業が名指しされたわけではないのだが、商務省は同日、安全保障上の懸念がある外国企業のリストに華為技術(ファーウェイ / HUAWEI)を追加。同社が米国企業の技術を政府の許可なく入手するのを禁止した、ということで明らかに中国企業を念頭に置いた措置だった。これによって、ファーウェイの携帯にはGoogleのAndroidが使えなくなる。Googleもアメリカ企業であるため、ファーウェイへのOSの提供はダメ、というわけだ。
さらに2020年6月、アメリカ連邦通信委員会(FCC)はファーウェイや中興通訊(ZTE)の2社を、アメリカの通信ネットワークおよび5Gの未来に対する「安全保障上の脅威」と正式に認定。その後、措置は拡大し、政府の補助金を受け取る通信会社が、ファーウェイやZTEなど中国企業5社の機器を買うのを禁じる措置も講じられた。どの通信会社も補助金を使って、通信網を整備したいため、この措置で太宗を封じたと政府は思ったわけだ。
ただ、それでも補助金を使っていないアメリカ通信企業が中国企業の技術を頼ってしまうことが問題視され、2021年6月にFCCは、安全保障上のリスクとみなすファーウェイ、ZTEを含む、中国企業5社の通信機器の認証を禁じる方針を決め、ここにアメリカにおける通信業界からの中国締め出しが一通り完結したわけだ。
ちなみに、携帯についてはファーウェイやZTEに対しては厳しいが、OPPOとXiaomiについては現時点ではそこまでの警戒にいたっていないようだ。
ただ、今回のリトアニア騒動で、アメリカも調査するだろうから、その結果がどうでるのか、注目の論点になっている。アメリカが対応をとらなければ、リトアニアが警戒しすぎた、となるだろうし、アメリカが動いて、追随すれば、やっぱりか、となり、国際的に広がっていく流れになるだろう。
こう解説すると気になる読者もいるのではないか。なぜアメリカはそんなに対応が早いのか、と。そこで次は、なぜアメリカは対応が早いのか、情報管理の問題と絡めて説明したい。
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