先述のとおり、どの国もあらゆる手を尽くして情報収集を行っており、当たり前だが、アメリカも実施している。
インテリジェンスについては、オープンソースから情報を分析するOSINT、通信傍受などから情報を取るSIGINT、人を介して行う諜報活動のHUMINTなど類型がされており、こうした活動をしていること事態は公然となっている。
余談だが、外交官として赴任して、突然モテたら気を付けろ、というのは鉄板の話だ。共産圏にいくときには特に要注意というのもまた鉄則なのだが、こういうハニートラップ系はHUMINTに属す。
アメリカはその気になれば、特に有事になれば、衛星やら、全てを駆使して情報監視に入るだろう。そのとき、もちろん、GAFAにも情報提供要請は出ると思っていい。
むしろ、本当に「その気になれば」なのか「有事になれば」なのかというところは考慮すべき論点となる。必要な人の情報は当然、取りに行く。インテリジェンスはそれが仕事であるためだ。その相場は、普段から接しているからこそアメリカは分かっているわけだ。どれくらい筒抜けかも分かっている。
となれば、敵国となるであろう国から、そういった形で社会の中に触手を伸ばされるリスクも十分に分かるわけだ。アメリカがこれまで筒抜けで取ってきたものの逆をやられるだけに。「そりゃ制限するわ」、と思うはずだ。
逆も然りである。「そりゃ、中国、制限かけるわ」、という話だ。中国ではFacebookが使えないなどの話があるが、そういう類の話だと思ってもらった方がいいだろう。もちろん、Facebookなどのサービスがあると、国内での言論統制を共産党がしづらいという面もあるが。
昔から情報はお金を生むものとして扱われてきた。
例えばコンビニのレジでは、購買した人間の性別、年齢層を打ち込むと会計できる仕組みになっており、これで情報を集約し、どの時間帯にどういった層が何を好んで買うのかを情報として集めてマーケティングに活かしている。
これをうまく活かしているのが、GAFAだ。
例えばYoutubeに広告がアップされるが、これも視聴者の傾向を踏まえたものが一応出てくるようになっている。グーグルとも連動しており、普段何を調べていて、どの時間帯には何を好みそうかなど、分析されている。個人情報であるため、これを個々に売買するというわけにはいかないが、ただ、情報としては検索したり、例えばグーグルクロームを使っていたり、そうしたものが全部、サーバーには筒抜けになっている。
例えば、携帯のマップ機能。これは位置情報と連動する。
人がどこにいて、どのくらいのスピードで移動しているかが分かる。みんながAndroidの携帯を持っていれば、人の動きの総体を見ることができる。あるいは衛星データとの組み合わせもある。これを利用したグーグルのサービスに、Environmental Insights Explorer(EIE)というものがあり、京都市や横浜市などがすでに利用している。どういうものかというと、グーグルが各市町村の温室効果ガス排出の測定をアシストするというものだ。
なぜ、こんなことが可能かというと、その自治体における人の動きがおよそ分かっているからだ。電車に乗っているのか、車に乗っているのか、はたまた歩いているのか。工場がどこにどれだけ位置していて、どのくらい稼働しているのか。そこにCO2係数をかければ、CO2の排出量が見えてくる、というものだ。
すごいサービスで、自治体の負担は減るのだが、このサービスの根幹を聞いたときに、「あぁ、それだけ筒抜けなんだな」と個人的に思ったものだ。
グーグルマップをナビ代わりに利用されている方も多く、驚くほど正確だ。特に渋滞情報や到着見込み時間などは。しかし、その利便性の裏には、こうしたカラクリがあると見ていいだろう。
最後に、ホンダがAndroidを搭載することになったと報じられたので、簡単に解説しよう。
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