「中国製スマホに監視機能」報道から考察する、車の電動化と情報漏洩の危機  | EnergyShift

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「中国製スマホに監視機能」報道から考察する、車の電動化と情報漏洩の危機 

2021年09月28日

ホンダはなぜAndroidを搭載するのか

簡単に言うと、グーグルが自動車用に開発したOS「アンドロイド・オートモーティブ」をホンダが主要車種に搭載することにした、というものだ。

このOSについては過去に説明をしているので、詳細はそちらに譲るが、車自体がスマホ化すると思ってもらえればわかりやすいだろう。ナビは当然グーグルマップと連動し、電気自動車(EV)に関しては、充電などの状況や車種に対応した充電ステーションを車内で検索して経路案内に入れて最適化出来るほか、到着前に電池の温度を調整して充電にかかる時間を短縮できるようになるとも言われている。

また、当然グーグルの音声アシストもついてくる。困ったら車内で「OK、グーグル」と話しかけてハンズフリーで解決、そんなイメージになるのだろう。

ホンダは元々、2014年にグーグルが中心となって立ち上げた「オープン・オートモーティブ・アライアンス」に初期メンバーとして参画しており、また、「アンドロイド・オート」というアンドロイドを搭載したスマホを車内で使いやすくする技術の実用化に取り組んだ実績もあるため、規定路線だったともいえるかもしれない。ホンダが提携するGMがアンドロイド・オートモーティブの採用を決めていたというのも大きいだろう。

ちなみに、このアンドロイド・オートモーティブ、すでにVOLVOは搭載、そして、先のGMが採用を決定しているほか、日本勢では日産・三菱・ルノー連合が採用を決めている。

もちろん、電動化していく中で、ハードだけではなくてソフト面も強化していかないといけない時代だ。

テスラなどを見ているとまさにそういう時代に入っており、こうしたソフト面、OSなどは今回のホンダのように外部と連携する、というのは合理的選択だと言える。

ただ、その先に、これまで車メーカーがある種、独占してきた走行データの共有化のような論点も出てくるはずだ。元々グーグルもEV市場に参入、という話もあった。この傾向が続くと、携帯のようにOSを用意するところが水平分業をして、自動車市場に強力に入ってくるということもありえる。アップルなどはまさにその展開を狙っている。

また、OSが入って、コネクテッドになればなるほど、利用者の情報は、今回でいえばグーグルに日々集積されていく格好になる。

そうした中で、今、中国のEVなども出てきており、いずれ、今回携帯で起きたような話が、自動車でも生じてもおかしくない。

情報化社会である一方で、筆者は外交官としてインテリジェンスも身近に感じて来た。そうであるからこそ、やはり安易に中韓などの携帯には手を出せずに、いまだに携帯を買うときには「国産のものはどれですか?」と聞いているオールドファッションな人間だ。だが、やはりそうしたところは重要ではないかと改めて、リトアニアのニュースに接して感じたわけだ。

さらに、今後の脱炭素化時代の中での車の電動化、特にソフト面について各社がどういう戦略をとるのか、この点も今後を占う上で、非常に重要になっていくだろう。

いずれにせよ、今回を期に、皆さんの身の回りの情報の在り方について考えるきっかけになったら幸いだ。

今回はこの一言でまとめたい。

『デジタルもグリーンも情報が肝』

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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