簡単に言うと、グーグルが自動車用に開発したOS「アンドロイド・オートモーティブ」をホンダが主要車種に搭載することにした、というものだ。
このOSについては過去に説明をしているので、詳細はそちらに譲るが、車自体がスマホ化すると思ってもらえればわかりやすいだろう。ナビは当然グーグルマップと連動し、電気自動車(EV)に関しては、充電などの状況や車種に対応した充電ステーションを車内で検索して経路案内に入れて最適化出来るほか、到着前に電池の温度を調整して充電にかかる時間を短縮できるようになるとも言われている。
また、当然グーグルの音声アシストもついてくる。困ったら車内で「OK、グーグル」と話しかけてハンズフリーで解決、そんなイメージになるのだろう。
ホンダは元々、2014年にグーグルが中心となって立ち上げた「オープン・オートモーティブ・アライアンス」に初期メンバーとして参画しており、また、「アンドロイド・オート」というアンドロイドを搭載したスマホを車内で使いやすくする技術の実用化に取り組んだ実績もあるため、規定路線だったともいえるかもしれない。ホンダが提携するGMがアンドロイド・オートモーティブの採用を決めていたというのも大きいだろう。
ちなみに、このアンドロイド・オートモーティブ、すでにVOLVOは搭載、そして、先のGMが採用を決定しているほか、日本勢では日産・三菱・ルノー連合が採用を決めている。
もちろん、電動化していく中で、ハードだけではなくてソフト面も強化していかないといけない時代だ。
テスラなどを見ているとまさにそういう時代に入っており、こうしたソフト面、OSなどは今回のホンダのように外部と連携する、というのは合理的選択だと言える。
ただ、その先に、これまで車メーカーがある種、独占してきた走行データの共有化のような論点も出てくるはずだ。元々グーグルもEV市場に参入、という話もあった。この傾向が続くと、携帯のようにOSを用意するところが水平分業をして、自動車市場に強力に入ってくるということもありえる。アップルなどはまさにその展開を狙っている。
また、OSが入って、コネクテッドになればなるほど、利用者の情報は、今回でいえばグーグルに日々集積されていく格好になる。
そうした中で、今、中国のEVなども出てきており、いずれ、今回携帯で起きたような話が、自動車でも生じてもおかしくない。
情報化社会である一方で、筆者は外交官としてインテリジェンスも身近に感じて来た。そうであるからこそ、やはり安易に中韓などの携帯には手を出せずに、いまだに携帯を買うときには「国産のものはどれですか?」と聞いているオールドファッションな人間だ。だが、やはりそうしたところは重要ではないかと改めて、リトアニアのニュースに接して感じたわけだ。
さらに、今後の脱炭素化時代の中での車の電動化、特にソフト面について各社がどういう戦略をとるのか、この点も今後を占う上で、非常に重要になっていくだろう。
いずれにせよ、今回を期に、皆さんの身の回りの情報の在り方について考えるきっかけになったら幸いだ。
今回はこの一言でまとめたい。
『デジタルもグリーンも情報が肝』
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