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RE100達成をめざす~できることから着々と

RE100達成をめざす~できることから着々と

RE100は企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことをめざす国際的なイニシアチブである。世界や国内で多数の企業が参加しており、戸田建設は2019年1月に加盟した。

同社は筑波技術研究所や超高層大型建築作業所の電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるなど、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。その現状を、RE100を担当する同社価値創造推進室副室長の樋口正一郎氏と価値創造推進室エンジニアリングユニット環境・情報チーム主任の五十嵐保裕氏にうかがった。

環境先進企業としてRE 100加盟は必須

戸田建設は環境先進企業を目指し、1994年に地球環境憲章を制定し、環境リスク低減にむけた活動やよりよい環境の創造に向けた活動を実施してきた。2010年には、ゼネコンで初めて環境大臣からエコ・ファースト企業として認定された。

エコ・ファースト制度とは環境大臣に対して、企業が自ら環境保全に対する取り組みを約束する制度だ。同社は、二酸化炭素の排出量を1990年比で80%削減する「2050年目標」を定め、環境大臣に約束している。さらに2019年からはエコ・ファースト推進協議会の議長会社を務め、協議会の運営を支えている。

「エコ・ファースト推進協議会で重責を担う立場になり、私たちが先頭に立って進めなければならないと強く考えるようになりました」と樋口正一郎氏はRE100に加盟した経緯について話す。2050年目標を達成するためにロードマップをつくり、様々な対策を講じてきた。

同社の使用するエネルギーの約7割の大半が軽油、約3割は電気である。工事現場では重機を使うので現状では燃料として軽油等を使わないわけにはいかない。「そこで、目標を達成するためには少なくとも電気を再生可能エネルギーにしないといけないと考えたのです」と樋口氏は続ける。同社にとって、RE100に加盟するのは必須のことだったという。

日本初 超高層大型建築作業所電力を再エネに切り替え

2018年夏からRE100に加盟するための準備を進めた。日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)のアドバイスをあおぎながら、取り組み方法などを検討した。同社の計画は再エネ電力の使用比率を2040年までに50%、2050年までに100%とするものだ。目標の達成に向けて、まずは非化石証書やグリーン電力証書などの再エネ証書を活用して再生可能エネルギーの利用率を高めていくことにした。

たとえば、風力など自然エネルギーによる電気は、化石燃料の削減や二酸化炭素など温暖化ガスの排出を抑制できるなどの付加価値をもっている。その付加価値は、電気とは別に再エネ証書として購入できる。証書を取得すれば、証書に記載された電力量分に相当する再生可能エネルギーの普及に貢献したことになり、再生可能電力を使ったとみなされる

こうして準備を整え、2019年1月にRE100に加盟すると、まずは2019年7月17日から同社筑波技術研究所で使う電力を100%再生可能エネルギーによる電力に切り替えた。

みんな電力㈱の「ENECT RE100プラン」を活用し、100%再生可能エネルギー電力を調達する。研究所の電力需要を再生可能エネルギー発電所からのFIT電力と30分単位でマッチングさせ、トラッキング付き非化石証書によってその発電所の環境価値を使うというものだ。

「さくらの里メガパワー発電所」からの再エネ電力の使用スキーム

さらに2019年9月1日から、東京駅前常盤橋プロジェクトA棟の新築工事も、再生可能エネルギーによる電力に切り替えた 。このような超高層大型建築作業所で、RE100の基準を満たす再生可能エネルギー電力を使用するのは日本初のケースだ。使用電力の多くを建設現場が占める同社にとっては、工事用電力を再生可能エネルギーによる電力に切り替えるのはRE100の達成には不可欠なのである。こちらの電力はエバーグリーン・マーケティングが供給したもの。エバーグリーン・マーケティングは波崎ウィンドファーム風力発電所などから調達したFIT電気にトラッキング付き非化石証書を付加している。

なぜ再生可能エネルギーが普及しないのか

同社はRE100に加盟後、再エネ電力への切り替えに取り組んできた。既存の電力から再生可能エネルギーに切り替えるとコストが上がるのか心配だが、同社は価格が上がらないように調達方法を工夫している。「まだ始まったばかりなので、今年度CO2をどの程度削減できるかはわかりませんが、その効果には皆期待しています。ただ、再生可能エネルギーの調達の方法はわかりにくいと感じています」と五十嵐保裕氏は課題を指摘する。

日本では、再生可能エネルギーの普及が遅れているのが現状だ。「なぜ再生可能エネルギーが普及しないのかについては、他の会社の担当者ともよく議論の話題になります」と五十嵐氏は続ける。

やはり、多くの担当者も口をそろえて、再生可能エネルギーの仕組みが複雑でわかりにくいことを訴えるという。再生可能エネルギーの調達の方法には、自家エネルギー使用のほか非化石証書の購入、そして非FIT電源によるグリーン電力を使用することがある。これらの三つの方法をどのようにRE100に活用していくのか、仕組みが複雑でわかりにくいのだ。

「どういった仕組みで電気を購入すれば再生可能エネルギーを使用したことになるのか、その仕組みをもっと多くの方が理解すれば再生可能エネルギーへのニーズがより一層顕在化されて、普及に繋がっていくのではないでしょうか」と五十嵐氏はいう。

次の課題は自家発電

「再生可能エネルギーの使用にまで及びませんが、協力会社などにもアイドリングストップなどをよびかけ二酸化炭素削減に努めています」と樋口氏。持続可能な社会の実現に向けて少しでもできることから進めていこうという姿勢である。

RE100の達成に向けて、これからも再生可能エネルギーの利用をいっそう進めていきたいという。次は、同社の再エネ発電所の活用とさらなる開発が課題だ。

(取材・執筆:佐藤成美)

プロフィール

樋口正一郎(ひぐち しょういちろう)

戸田建設価値創造推進室副室長 1980年戸田建設入社、2007年建築企画部部長、2011年環境事業推進室室長、2018年価値創造推進室副室長(現職)

五十嵐保裕(いがらし やすひろ)

戸田建設価値創造推進室エンジニアリングユニット 環境・情報チーム主任 2011年戸田建設入社、2019年エンジニアリングユニット 環境・情報チーム主任(現職)


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