日本も脱石炭や脱炭素実現には原子力が欠かせないという意見は多い。
経済産業省の原子力政策のあり方を議論する原子力小委員会では、第6次エネルギー基本計画の策定に際し、新増設や建て替えを含めた原発利用を求める意見が相次いだ。「カーボンニュートラルをするなら、原子力の長期利用は必要で、もし原子力の長期利用ができないのであれば、(カーボンニュートラルは)諦める。そのような選択を迫られている状況だ」(遠藤典子 慶應義塾大学特任教授)という意見も出たほどだ。
しかし、日本における原発は停滞したままだ。
政府は10月、2030年度の電源構成のうち、20〜22%を原発でまかなうという第6次エネルギー基本計画を閣議決定した。だが、2019年度の発電量はわずか6%だ。福島第一原発事故後、再稼働したのは10基にとどまり、原子力規制委員会の設置変更許可が出たものが6基、審査中ものが11基で、残る9基は申請もしていない。
原発事故後、規制委員会が策定した再稼働の前提となる新規制基準を満たすには、防潮堤などを整備しなければならず、追加の安全対策費は1基あたり約2,000億円にのぼる。安全対策費の増加により、採算を見込めないなどの理由から、廃炉を決めた原発は24基となった。
日本の原子力発電所の現状(2021年8月30日時点)
出典:経済産業省
原発比率20〜22%を達成するには、審査中も含めた27基がすべて再稼働し、しかも設備利用率80%というフル稼働をしてようやく達成できる水準だ。設備利用率の推移を見ると2017〜2019年度までは約80%だったが、2020年度は、テロなどからの危機を防ぐための特定重大事故等対処施設(特重施設)の建設や訴訟などによる長期停止があり、約50%だった。
専門家からは「原発は社会的受容性が低く、何かスキャンダルがあれば、全国の原発が止まってしまう」「実現は困難だ」と指摘する声があがっている。
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