47都道府県 2020年度予算から読み解く再エネ動向 北海道・東北エリア 再エネ普及拡大で産業振興目指す | EnergyShift

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47都道府県 2020年度予算から読み解く再エネ動向 北海道・東北エリア 再エネ普及拡大で産業振興目指す

47都道府県 2020年度予算から読み解く再エネ動向 北海道・東北エリア 再エネ普及拡大で産業振興目指す

2020年05月14日

地球温暖化を起因とする気候災害が深刻化するなか、地方自治体では脱炭素社会の実現に向けた、独自の再生可能エネルギーの導入支援策や、気候変動対策を実施している。環境と経済の好循環を生み出すことで、人口減少や産業競争力の低下など地方都市が抱える課題を解決し、SDGsが提唱する「持続可能な社会」の実現も目指し、さまざまな補助金や施策をうちだしている。
2020年度、47都道府県はどのような再エネ支援、気候変動対策に取り組むのか。地方ごとに対策を紹介していく。初回は北海道・東北7県の自治体独自施策を解説する。

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地方自治体に拡がる気候危機対策

地方自治体には、気候変動の影響により、台風や集中豪雨などの自然災害が頻発化、激甚化し、今後も甚大な被害が発生する危機的状況だという認識が拡がりつつある。
そのため、地域資源を最大限活用した再エネの導入拡大によって、温室効果ガス(GHG)を削減し、電力のレジリエンス強化を図り、災害に強い都市づくりを推進してきた。それと同時に、環境と経済の好循環を生み出すことで、持続可能な社会の構築につなげたい、という基本政策がある。

こうした基本政策のもと、自治体独自のエネルギービジョンの策定にとどまらず、2050年GHG実質ゼロに向けた気候変動対策計画を策定し、市民の環境意識の熟成とビジネスモデルやライフスタイルの転換を促す取り組みが全国で拡大している。

北海道:環境と経済の好循環を回す

2018年9月に発生した胆振東部地震によって、全道ブラックアウトという非常事態を経験した北海道では、エネルギーの地産地消を推進することで、電力のレジリエンス強化に取り組んできた。2020年度は、再エネの導入拡大をさらに進めることで、人口減少による産業競争力の低下など地方都市が抱える課題解決につなげる方針だ。

「経済のグローバル化に対応した産業競争力の向上」という政策テーマのもと、総額11.4億円を超える予算を投じ、地域の特性に応じたエネルギー資源を利用し、非常時にも供給可能なエネルギーの地産地消の取り組みを支援する。また2020年度より新たに、高い導入ポテンシャルを持つ洋上風力発電の導入に向け、海域の情報調査、国への系統増強の提案に向けた検討などに1,000万円を計上した。このほか、約3,170万円を投じ、水素関連産業への道内企業の参入を促進することで、新たな産業振興策を図っていく。

北海道

エネルギー地産地消スタートアップ支援事業費
2020年度予算額
550万円(2019年度予算額:0円)
概要
エネルギー地産地消の取組の拡大を図るため、具体的な取組に至らない市町村等の推進体制の構築の支援やコーディネーターの派遣などに取り組む。

洋上風力発電導入に向けた調査検討事業費
2020年度予算額
1,000万円(2019年度予算額:0円)
概要
本道が高いポテンシャルを有する洋上風力発電導入促進に向け、海域の情報調査、国への系統増強の提案に向けた検討を行うほか、地域の理解促進のためのセミナーを開催する。

水素関連産業化促進事業費
2020年度予算額
3,169.4万円(2019年度予算額:0円)
概要
本道における水素関連産業の形成促進を図るため、国の実証事業誘導や道内企業の参入促進に向けた取組を進める。

エネルギー地産地消事業化モデル支援事業費
2020年度予算額
5億8,499.4万円(2019年度予算額:6億7,926.2万円)
概要
エネルギーの自給・地域循環の取組を促進するため、エネルギー資源を効果的・効率的に利用し、エネルギーの地産地消のモデルとなる取組を支援する。

エネルギー地産地消事業化モデル支援事業費(非常時対応型モデル)
2020年度予算額
5億5,698.4万円(2019年度予算額:3億円)
概要
地域の特性に応じたエネルギー資源を効果的・効率的に利用し、非常時にも対応可能なエネルギーの地産地消のモデルとなる取組を支援する。

水素社会推進事業費
2020年度予算額
251.1万円(2019年度予算額:0円)
概要
温室効果ガスのより一層の削減のため、市町村職員向けの水素サプライチェーンに関する地域勉強会やFCV・燃料電池展示会などに取り組む。

新エネルギー導入支援事業(設備導入支援)
2020年度予算額
2億2,000万円(2019年度予算額:2億2,000万円)
概要
地域主導のエネルギー地産地消の取組を加速するため、地域のエネルギーと経済の地域循環により、持続可能な地域づくりに資する新エネルギー設備導入事業に対して、北海道新エネルギー導入加速化基金を活用して補助する。
補助対象
  • 市町村
  • 市町村(複数の市町村も含む)と法人および任意団体、その他知事が適当と認めた者で構成された共同体(コンソーシアム)
対象事業
  • 温泉施設、農業施設や公共施設等への木質バイオマスボイラーの導入
  • 農業用ハウスへの地中熱ヒートポンプ、地中熱交換システムの導入
  • 温泉熱の農業ハウス等への利用
  • 雪氷冷熱の利用
補助対象経費
賃金、報償費、旅費、消耗品費、印刷製本費、通信運搬費、使用料および賃借料、工事請負費、 原材料費、備品購入費、その他知事が特に必要と認めた経費
補助率
1/2以内
限度額
5,000万円

■ 参照データ

青森県:産業・雇用創出としての再エネ

北海道・東北エリアは洋上風力発電の導入ポテンシャルが非常に高い。そのひとつである青森県でも、産業・雇用創出の一環として、「風力発電関連業担い手育成事業費」「実践的『地域エネルギー事業』導入支援事業費」「熱利活用普及拡大事業費」の3つの支援事業を2020年度から新たに取り組む。

「風力発電関連業担い手育成事業費」は、文字どおり、風力発電関連産業への県内企業の参入促進および、人材育成を図る事業である。予算額は約815万円が計上された。

「実践的『地域エネルギー事業』導入支援事業費」では、エネルギーの地産地消を推進し、スマートコミュニティの創出を図るため、地域エネルギー事業の構築を目指す。「熱利活用普及拡大事業費」では、工場などの排熱など未利用熱エネルギーの利活用の促進に取り組む。予算額はそれぞれ約903万円、約693万円である。このほか、予算額は減額されたものの、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)の推進なども継続する。

青森県

実践的「地域エネルギー事業」導入支援事業費
2020年度予算額
903.5万円(2019年度予算額:0円)
概要
エネルギーの地産地消を推進し、県内におけるスマートコミュニティの創出を図るため、地域課題に対応した地域エネルギー事業モデルを構築するとともに、地域におけるエネルギーの有効利用に関する勉強会を開催する。

風力発電関連業担い手育成事業費
2020年度予算額
815.5万円(2019年度予算額:0円)
概要
風力発電関連業への県内企業の参入促進と人材育成を図るため、新規参入事業者の掘り起こしに向けたメンテナンス業務等に係る説明会および体験会のほか、工業高校生等向けの体験研修を実施する。

熱利活用普及拡大事業費
2020年度予算額
693.7万円(2019年度予算額:0円)
概要
県内の工場等の廃熱などの未利用熱エネルギーの利活用を促進するため、蓄熱技術を活用した各産業における未利用熱活用事業モデルを構築する。

エネルギー産業振興戦略プロジェクト構築事業費
2020年度予算額
718万円(2019年度予算額:1,412.8万円)
概要
国における新たなエネルギー基本計画の策定や再生可能エネルギーを取り巻く環境の変化等に対応した効果的な取り組みを推進するため、再生可能エネルギーの現状を再点検するとともに、戦略プロジェクトの見直しを検討する。

EV・PHV普及促進事業費
2020年度予算額
234.9万円(2019年度予算額:4,586.5万円)
概要
EV・PHVの普及促進を図るため、車両の展示・試乗や給電機能の体験などの普及啓発イベントを開催する。

■ 参照データ

岩手県:災害に強い都市づくりを目指す

東日本大震災による津波被害、2019年に発生した台風19号による災害からの復旧・復興に取り組む岩手県では、災害時にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築を進めている。政策テーマは、「災害に強く安全で安心な暮らしを支える防災都市・地域づくり」だ。

具体的には、被災家屋等への太陽光発電の導入、防災拠点への太陽光発電や蓄電池などの導入支援。さらに再エネ由来の水素利活用の推進とともに、水素関連ビジネスの創出にも取り組む。総額4.3億円を超える予算が計上された。また、農業水利施設への小水力発電の導入支援や木質バイオマス利用に向けた人材育成も図っていく。

これら再エネ導入促進に加え、2050年GHG排出量実質ゼロに向け、県民や事業者、行政が一体となった排出削減運動も展開する。

岩手県

海洋エネルギー研究拠点構築事業費
2020年度予算額
520万円(2019年度予算額:520万円)
概要
海洋エネルギー関連産業の創出に向け、研究開発プロジェクトや発電事業の実現を支援する。

再生可能エネルギー導入促進事業費
2020年度予算額
3,430万円(2019年度予算額:3,960万円)
概要
災害時においても一定のエネルギーを賄える自立・分散型エネルギー供給体制の構築に向け、被災家屋等への太陽光発電の導入や市町村の計画策定等に対する支援を実施する。

防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費
2020年度予算額
3億9,250万円(2019年度予算額:5億9,370万円)
概要
防災拠点(庁舎等)や避難所が非常時にその機能を十分発揮できるようにするため、再生可能エネルギー設備導入等推進基金を活用し、太陽光発電や蓄電池等の再生可能エネルギー設備の導入を推進する。

再生可能エネルギー利用発電設備導入促進資金貸付金
2020年度予算額
14億円(2019年度予算額:15億8,000万円)
概要
省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備の導入促進のため、設備設置資金等への低利融資を実施する。

水素利活用による再生可能エネルギー推進事業費
2020年度予算額
1,230万円(2019年度予算額:1,040万円)
概要
再生可能エネルギー由来の水素の利活用推進や水素関連製品の普及促進、水素利活用に関する県民や事業者等への理解促進などに取り組むほか、水素関連ビジネスの創出育成のための取り組みを実施する。

小水力等再生可能エネルギー導入推進事業費
2020年度予算額
1億6,300万円(2019年度予算額:1億4,510万円)
概要
農村地域に賦存する再生可能エネルギーの有効活用を図るため、農業水利施設への小水力発電整備を実施する。

木質バイオマス熱電利用促進事業費
2020年度予算額
130万円(2019年度予算額:230万円)
概要
木質バイオマスの利用を促進するため、フォーラムの開催やコーディネーターによる技術指導等を実施する。

■ 参照データ

宮城県:持続可能な社会の実現に向けて

宮城県は、「創造的な復興」支援によって、地域経済のさらなる成長や、人口減少・少子高齢化などの社会的課題の解決を図っている。こうした政策のもと、「力強くきめ細やかな震災復興」に向け、持続可能な社会と環境保全の実現に取り組む。
なかでも、再エネ導入とスマートシティの形成を目指し、太陽光発電や風力発電、小水力発電、バイオマスの導入支援や、FCVや水素ステーションの整備など、水素社会の実装に対し、総額13億を超える予算を投じる。また、家庭におけるCO2排出量の一層の削減を図るとともに、災害時でも電源を確保できるよう、住宅用太陽光発電や蓄電池、Vehicle to Home(V2H)、家庭用燃料電池などの導入補助として、2019年度比2,000万円増となる3億円強が予算化された。

このほか、長期安定電源を支える環境整備づくりを目指し、太陽光発電設備保守点検等推進費を新たに追加している。

宮城県

省エネルギー・コスト削減実践支援費
2020年度予算額
1億5,537.5万円(2019年度予算額:1億4,250万円)
概要
事務所の省エネルギー設備導入への助成など

再生可能エネルギー等設備導入支援費
2020年度予算額
9,625.5万円(2019年度予算額:9,115.2万円)
概要
事業所の再生可能エネルギー等設備導入への助成など

クリーンエネルギーみやぎ創造費
2020年度予算額
6,279.8万円(2019年度予算額:6,375.7万円)
概要
クリーンエネルギー利活用の促進など

みやぎ新エネルギー・環境関連産業振興費
2020年度予算額
3,217.2万円(2019年度予算額:3,220.7万円)
概要
環境関連ものづくり産業への支援

水素エネルギー利活用推進費
燃料電池自動車導入推進費
2020年度予算額
5,918.4万円(2019年度予算額:5,505.3万円)
概要
燃料電池自動車の普及啓発、購入費助成など 水素エネルギー利活用普及促進費
2020年度予算額
1,207万円(2019年度予算額:1,208.2万円)
概要
普及啓発イベント、啓発資料作成など 水素エネルギー産業創出費
2020年度予算額
241.4万円(2019年度予算額:242.1万円)
概要
事業者等を対象としたセミナーの開催 水素ステーション導入促進費
2020年度予算額
1億3,006万円(2019年度予算額:445.6万円)
概要
水素ステーション整備への助成など

スマートエネルギー住宅普及促進費
2020年度予算額
3億75.7万円(2019年度予算額:2億8,075.7万円)
概要
家庭における二酸化炭素排出量の一層の削減を図り、あわせて災害時における電源等の確保を目的に、下記の設備等の導入補助を実施する。
太陽光発電システム
  • 通常型:4万円/件
  • ZEH型:8万円/件
地中熱ヒートポンプシステム
補助対象経費の1/5(上限50万円)
蓄電池
6万円/件
V2H(住宅用外部給電機器)
6万円/件
家庭用燃料電池(エネファーム)
12万円/件
既存住宅省エネルギー改修
改修部位・範囲により2千~10万円/ヶ所

再生可能エネルギー活用地域復興支援費
2020年度予算額
1,857.7万円(2019年度予算額:1,814.9万円)
概要
再生可能エネルギーを活用したまちづくりへの支援など

風力発電導入推進費
2020年度予算額
1,488万円(2019年度予算額:1,483.5万円)
概要
風力発電の導入に向けた調査への助成など

地域環境保全特別基金事業費
2020年度予算額
2,893万円(2019年度予算額:7,185.7万円)
概要
防災拠点等への再生可能エネルギー設備導入

小水力等農村地域資源利活用促進費
2020年度予算額
1,000万円(2019年度予算額:1,500万円)
概要
農業水利施設での小水力発電導入に向けた基本設計

木質バイオマス広域利用モデル形成費
2020年度予算額
2,730万円(2019年度予算額:3,700万円)
概要
未利用間伐材の有効活用への支援など

J-クレジット導入費
2020年度予算額
389.5万円(2019年度予算額:272.1万円)
概要
J-クレジット制度を活用した太陽光発電の自家消費促進

太陽光発電設備保守点検等推進費
2020年度予算額
138万円(2019年度予算額:0円)
概要
保守点検等研修の実施など

■ 参照データ

秋田県:県内経済を成長させる稼ぐ力=再エネへ投資

秋田県では、持続的な発展に向け、経済の自律的な成長力となる「稼ぐ力」への投資を推進している。その一環として実施するのが「新エネルギー産業創出・育成事業」だ。
導入機運が高まる洋上風力発電を中心に、関連産業を拡大し、県内企業による新エネルギー分野への参入促進を目指す。2020年度から、洋上風力発電メンテナンス技術者の養成など新たな支援事業を追加したことで、予算額は3,033万円(2019年度比345万円増)となった。

またインフラ強化の一環として、能代港の埠頭用地を洋上風力発電の基地港に整備することで、関連産業の集積や洋上風力の拠点を形成する。2020年度から建設を始め、2024年度の完成を目指す。総事業費は41億円を予定しており、今年度は8,500万円を予算計上した。

秋田県

新エネルギー産業創出・育成事業
2020年度予算額
3,033万円(2019年度予算額:2,687.8万円)
概要
新エネルギー関連産業の拡大のため、県内企業による新エネルギー分野への参入を促進する。 ①再生可能エネルギー導入促進事業
2020年度予算額
2,135万円(2019年度予算額:0円)
概要
風力発電等の事業化と、関連産業への県内企業の参入を支援する。 県内企業の風力発電事業等への参入支援
2020年度予算額
934.9万円(2019年度予算額:1,517.4万円)
概要
  • 風力発電等アドバイザーの派遣
  • サプライチェーン調査を踏まえた県内企業の参入支援
  • 洋上風力に関する県民の理解促進に向けた普及啓発イベントや広報の実施など
メンテナンス人材の育成等
2020年度予算額
1,014.1万円(2019年度予算額:611.2万円)
概要
  • 電気主任技術者育成に向けた高校への出前講座実施
  • メンテナンス技術者等の養成支援(1/2(県10/10))
  • 県内企業による洋上風力発電メンテナンス技術者の養成や技術開発の取組に対する支援(1/2(県10/10))など
洋上風力発電の導入促進
2020年度予算額
186万円(2019年度予算額:106.7万円)
概要
  • 関連産業への参入を目指す県内企業を対象とするセミナーの開催など
  • 再エネ海域利用法に係る協議会に要する経費など
水素エネルギー導入促進事業
2020年度予算額
90.2万円(2019年度予算額:90.2万円)
概要
産学官による水素エネルギーに関するコンソーシアムを通じ、利用促進や関連産業への参入の促進を図る。 地熱エネルギー多面的利用促進事業
2020年度予算額
807.8万円(2019年度予算額:362.3万円)
概要
産学官による地熱エネルギーに関するコンソーシアムを通じ、地熱エネルギーの多面的な利用による地域振興へ向けた取り組みについて検討する。

企業立地・導入促進資金貸付事業
2020年度予算額
2億3,638.7万円(2019年度予算額:2億9,415.5万円)
概要
企業誘致の促進と地場産業の高度化を図るため、工場の新増設や再生可能エネルギーによる発電事業等を行う企業に対し低利融資を行う。
融資枠
2.9億円
貸付利率
1.0%(輸送機・アグリ・電気業関連投資は0.9%)
貸付期間
15年以内(据置2年以内)

大森ふ頭用地造成事業
2020年度予算額
8,500万円(2019年度予算額:0円)
概要
洋上風力発電の基地港として、能代港のふ頭用地の整備を行うことにより、 関連産業の集積や風力発電の拠点を形成する。

中山間営農型太陽光発電モデル実証事業
2020年度予算額
93.7万円(2019年度予算額:222.6万円)
概要
中山間農地に設置した太陽光発電と営農による高収益農業の実証試験を実施する。

■ 参照データ

山形県:地方創生目指し洋上風力など支援

山形県では、「未来に向けた発展基盤となる県土の整備・活用」として、電力面での災害対応力強化のため家庭などへの蓄電池などの導入支援や、遊佐町沖における地域協調型洋上風力の導入などを進める。

まず大規模事業の県内展開の促進として、洋上・陸上風力はじめ、小水力発電などの発電事業が地方創生に資する形での導入を目指し、市町村や漁業関係者、そして事業者との連携を促進する。予算総額は約1,860万円。

また、電力のレジリエンス強化の推進に向け、一般家庭や事業所などに蓄電池などの導入補助として、約9,590万円の予算を確保している。

このほか、人手不足の解消と生産性向上および、再エネの地産地消を目指し、再エネ電力の供給とスマート家電を活用した電力使用を最適化する仕組みづくりなどの実証も手掛ける。予算額は約1,400万円となった。

山形県

地域連携型再生可能エネルギー開発促進事業
2020年度予算額
1,485.3万円(2019年度予算額:3,641.4万円)
概要
発電事業が地方創生に資する形で、かつ円滑に導入されるよう、市町村と事業者の相互の連携を促進する。

市町村と連携して事業者が行う事業可能性調査への助成
風力発電(補助率:1/2、上限額300万円)
小水力発電(補助率:1/2、上限額75万円)

再生可能エネルギー導入に主体的に取り組む市町村へのアドバイザー派遣
内陸部での風況調査の実施

洋上風力発電推進事業
2020年度予算額
373.7万円(2019年度予算額:0円)
概要
  • 遊佐町沖における洋上風力発電導入を推進
  • 再エネ海域利用法に基づく法定協議会への対応
  • 漁業協調策の検討および地域の理解浸透

再生可能エネルギー発電事業等資金利子補助事業
2020年度予算額
3,958.9万円(2019年度予算額:3,703.7万円)
概要
県商工業振興資金を借り入れた事業(風力、中小水力、地熱、熱利用)に係る利子助成(補助率:1/2)

再生可能エネルギー等設備導入促進事業
2020年度予算額
9,590.6万円(2019年度予算額:1億1,014.7万円)
概要
家庭および事業所への再生可能エネルギー等設備(蓄電池、地中熱、木質バイオマス熱、太陽熱)導入に対する助成
蓄電池設備
  • 設備要件:太陽光発電との同時導入
  • 補助率(上限額):7万円/kWh(35万円)
地中熱利用装置
  • 設備要件:COP3.0以上、またはこれと同等の水準
  • 補助率(上限額): 1/3(空調:50万円/融雪:30万円)
木質バイオマス燃焼機器
  • 設備要件:ー
  • 補助率(上限額):1/2(ストーブ:10万円/ボイラー:50万円)
太陽熱利用給湯装置
  • 設備要件:ー
  • 補助率(上限額):1/10(5万円)

エネルギー地産地消モデル推進事業
2020年度予算額
1,379.3万円(2019年度予算額:2,599.7万円)
概要
県内再エネ電力の供給とICTを活用したエネルギーマネジメントシステムづくりに取り組むモデル事業に対する助成

再生可能エネルギー熱利用等促進事業
2020年度予算額
816.6万円(2019年度予算額:2,100万円)
概要
  • 地中熱・雪氷熱・温泉熱の利活用研究への助成(補助率:10/10、上限額50万円)
  • 熱利用設備等の事業可能性調査への助成(補助率:2/3、上限額500万円)
  • 熱利用設備等の導入に向けたコンサルティング経費に対する助成(補助率:2/3、上限額133.3万円)

山形県民CO2削減価値創出事業費
2020年度予算額
525万円(2019年度予算額:339万円)
概要
  • 家庭および事業所における再エネ設備導入によるCO2削減価値の「見える化」
  • 環境保全活動への助成
  • SDGsや気候変動適応に関する若者世代向けの学習会等の開催に対する支援

■ 参照データ

福島県:約65億円投じ再エネ産業を育成

2020年度、震災と原発事故から10年目を迎える福島県にとって、再エネの普及拡大は新産業の創造である。まず11.2億円を超える予算を投じ推進するのが、「チャレンジふくしま再生可能エネルギー普及拡大事業」である。地域と共生した再エネ拡大や、県産再エネのブランド化も推進することで、福島県を再エネ先進地域とする方針だ。また38億円超の予算を計上し、避難解除区域や阿武隈山地・沿岸部における再エネ発電設備や共用送電線などの導入補助も展開する。

さらに、「福島新エネ社会構想等推進技術開発事業」では、産官学の連携を深め、県内企業の技術高度化を支援することで、再エネ関連産業の育成・集積も促進する。予算額は7億円規模となった。このほか、予算額は1,500万円ほどだが、系統連系の克服、そして国民負担の軽減を目指し、FIT制度に依存しない自家消費型再エネが中心となるスマートコミュニティの実現も支援する。
さらに「水素社会実現のモデル構築」に向けて、FCVなどの導入支援策として約2.2億円の予算を計上している。

このように福島県では、再エネ関連の産業集積に取り組むことで、県内全域で失われた産業の復興に取り組んでいる。

福島県

チャレンジふくしま再生可能エネルギー普及拡大事業
2020年度予算額
11億2,558.5万円(2019年度予算額:10億281.2万円)
概要
本県を名実ともに再生可能エネルギー先駆けの地とするため、地域と共生する再生可能エネルギー事業の立ち上げを事業ステージに応じて支援し、家庭や地域における導入を促進するとともに、県産再エネのブランド化に向けたマッチングモデルを構築する。

水素エネルギー普及拡大事業
2020年度予算額
2億2,034万円(2019年度予算額:4億4,930万円)
概要
福島新エネ社会構想の柱の一つである「水素社会実現のモデル構築」に向けて、県内における水素ステーションの導入、FCV等の導入の推進を図るとともに、県有施設等に設置した水素利用設備を活用し、水素利用設備の普及拡大に向けたPRを実施する。

スマートコミュニティ支援事業
2020年度予算額
1,524.3万円(2019年度予算額:4,198.1万円)
概要
「系統連系」「国民負担」の点から優れる「自家消費」型再エネを核とするスマートコミュニティ事業を支援する。

再生可能エネルギー復興支援事業
2020年度予算額
38億4,149.4万円(2019年度予算額:85億18.2万円)
概要
避難解除区域等や阿武隈山地・沿岸部等における再エネ発電設備や共用送電線等の導入に対する補助を実施する。

地域まるごと低炭素化推進事業
2020年度予算額
3,892.2万円(2019年度予算額:6,123.5万円)
概要
住民、民間事業者、市町村などあらゆる主体が一体となった省エネルギーを推進するため、地域ぐるみの省エネルギー計画を策定する市町村および省エネルギー対策に取り組む民間事業者を支援する。

再生可能エネルギー導入等による防災拠点支援事業
2020年度予算額
1億3,895.5万円(2019年度予算額:1億9,096万円)
概要
再生可能エネルギー等を活用した災害に強い自立・分散型エネルギーシステムを導入し、安全・安心な街作りと地球温暖化対策の推進を図る。

福島新エネ社会構想等推進技術開発事業
2020年度予算額
7億4,010.8万円(2019年度予算額:8億7,825万円)
概要
福島新エネ社会構想の実現のため、産学官の連携により県内企業の技術高度化等を支援し、再生可能エネルギー関連産業の育成・集積を促進する。

再エネ関連産業産学官連携・販路拡大促進事業
2020年度予算額
1億6,574.7万円(2019年度予算額:1億5,940.3万円)
概要
再エネ関連産業育成・集積支援機関である「エネルギー・エージェンシーふくしま」を中心に、 ネットワークの形成から新規参入、事業化、販路拡大、覚書締結先を始めとした海外展開まで、一体的・総合的に支援するなど、再生可能エネルギー関連産業の育成・集積を促進する。

未来を担う再エネ人材交流・育成事業
2020年度予算額
5,162.8万円(2019年度予算額:7,479万円)
概要
本県が覚書を締結している再エネ先進地との連携を一層進めるため、両地域のトップ間交流および先進地からの企業等招聘を実施するとともに、高校生や技術者等に対して、再生可能エネルギー関連技術の知識習得を支援するなど人材育成を実施する。

テクノアカデミーにおけるイノベ人材等育成事業
2020年度予算額
4,424.9万円(2019年度予算額:4,790.2万円)
概要
福島イノベーション・コースト構想の推進に資する人材育成および人的裾野拡大のため「ロボット関連産業」、「再生可能エネルギー関連産業」を中心とした産業分野へ向けた人材育成を行うとともにテクノアカデミー浜と福島ロボットテストフィールドを会場にフェアを開催する。

福島県省エネルギー住宅改修補助事業
2020年度予算額
1億1,000万円(2019年度予算額:1億1,000万円)
概要
住宅の省エネルギー化や高齢者等の健康増進等を図るため、既存戸建て住宅の断熱改修工事に対し、補助金を交付する。

■ 参照データ

北海道・東北エリアのまとめ

北海道・東北エリアでは、導入機運が高まる洋上風力などの普及拡大を通じ、環境と経済の好循環を回すことで、SDGsが目指す「持続可能な社会」の構築に取り組んでいる。こうした脱炭素社会に向けた施策は全国に拡がりつつある。次回は、関東7自治体による再エネ支援策を解説する。

Energy Shiftの補助金データベースもご覧ください

(Text:藤村朋弘)

藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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