住宅などの低炭素建築物、2022年度にも太陽光発電など再エネ義務化 課題は消費者負担 | EnergyShift

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住宅などの低炭素建築物、2022年度にも太陽光発電など再エネ義務化 課題は消費者負担

住宅などの低炭素建築物、2022年度にも太陽光発電など再エネ義務化 課題は消費者負担

2021年11月11日

住宅やオフィスビルなどの脱炭素に向け、政府は住宅ローン減税などの税制優遇や特例融資の対象となる「低炭素建築物」の認定基準を見直し、太陽光発電など再生可能エネルギーの設置を義務化させる。2022年度から新基準を適用する。設置義務化によって、消費者負担が少なくとも150万円近く増加するため、普及拡大に向けては、いかに軽減するかが課題となっている。

2030年新築戸建て6割に太陽光搭載は達成可能か

11月4日に開催された国土交通省、経済産業省、環境省3省合同会議で検討がはじまった。

経済産業省によると、住宅やオフィスビル、商業施設など建築物から排出される二酸化炭素は、2019年度で国内全体の3割を超えているという。具体的には、住宅やマンションなどが15.5%、オフィスビルや商業施設などが18.8%にのぼる。また、エネルギー消費量も全体の3割超を占めている。

政府は今年10月に閣議決定した地球温暖化対策計画などにおいて、住宅やオフィスビルなどの建築物の脱炭素に向け、2030年度に新築について、高い断熱性能と太陽光発電を組み合わせたZEH(ゼロエネルギーハウス)やZEB(ゼロエネルギービル)水準の省エネ性能を確保し、新築戸建て住宅に対しては6割に太陽光発電を導入する目標を掲げている。住宅・建築分野の温暖化ガス削減目標はおよそ2割引き上げられた。

実現に向けては、高い断熱性能や太陽光発電の導入など、省エネ性能が高い住宅や建物の建設や改修が欠かせない。だが、2019年度の新築注文戸建て住宅約28万戸のうち、太陽光発電を搭載したZEH戸数は5.8万戸と、20.6%の割合にとどまっている。野村総合研究所は、ZEH住宅は今後増え、2021年に10.1万戸、2024年には13万戸を超えると予測するも、2024年をめどに停滞する見込みだとし、6割目標の達成には厳しさが漂う。

新築注文戸建のZEH化率の推移


出典:国土交通省

国内には約5,000万戸の住宅ストックがあるが、このうち省エネ性能を持つ住宅はわずか13%の約650万戸しかなく、無断熱の住宅は約1,450万戸(約29%)もある。新築に比べ、費用負担が重くなる既存住宅の省エネ化の推進は難しい。当然、太陽光発電の導入も減少傾向にある。

国交省などでは将来、住宅着工件数の減少や中古住宅の流通増加が避けられない中、新築住宅の脱炭素化を図らなければ、良質な住宅ストックを残す機会を喪失するという危機感が増しつつある。そのため、あらゆる新築建物の脱炭素化に向け、打てる手は打つという考えだ。

その一環として、エコまち法と呼ばれる「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく低炭素建築物の認定基準を見直し、太陽光発電などの設置を義務づける方針だ。

低炭素建築物とは、建築物省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量がマイナス10%以上となる建物のこと。国交省は2012年12月から住宅・建築分野の低炭素化に向け、住宅ローン減税などの税制優遇や、特例融資などのインセンティブを付与することで、普及を図ってきた。だが、低炭素建築物は普及しているとは言い難い。2021年3月時点での累計認定数は戸建て住宅約3.3万件、共同住宅約2万件、オフィスビルなどを含めても5.3万件しかない。年間の認定数は戸建て住宅で6,000件を下回る。

ZEHと比べても少ない認定数だが、6割目標の達成に向けては、低炭素建築物の活用も欠かせないと判断した。

低炭素建築物の認定状況(2021年3月末時点の累計)

認定対象合計
一戸建て33,089件(戸)
共同住宅20,278件(戸)
複合建築物165件(棟)
非住宅29件(棟)
合計53,561件

出典:国土交通省

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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