国内の半導体生産を支援すべく、政府が大型補助金の枠組みを作ろうとしている。工場数では世界1位ながら、多くが陳腐化・老朽化しているとされる国内の半導体工場に梃入れを図る。世界的な半導体大手、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本に建設する工場への支援を皮切りに、国内の半導体メーカー・工場を全体的に支援していく。
かつて世界で50%以上のシェアを占めた日本の半導体産業。政府によると、2019年時点で、国内には84の半導体工場があるが、その多くは老朽化が進んでいる。
最新の製造装置の導入を補助して生産効率を高めたり、防火や継続計画の一部費用を支援して火災や災害による生産停止のリスクを抑えたりする狙いだ。
特に半導体工場での火災対策は重要だ。2020年10月には、宮崎県にある旭化成の子会社、旭化成エレクトロニクスの工場で、2021年3月には茨城県にあるルネサスエレクトロニクスの那珂工場で火災が発生し、生産に支障をきたすこととなった。
11月7日に、民放のニュース番組に出演した小林経済安全保障担当相は「経済対策に半導体支援というのを入れるべく調整します」と述べ、2021年度補正予算案に計上する見通しだ。金額は政府・与党で協議されているが、経済産業省は数千億円を求めているとされる。
支援は、先端半導体のみならず、動作制御を担うマイコンや、電力を制御するパワー半導体など製造する既存工場も対象にしている。後者の汎用的な半導体は、半導体不足によって減産が続いた自動車のほか、家電や医療機器など様々な製品に使われる。
萩生田光一経済産業相は「国内半導体メーカーもさらにウイングを広げてもらう必要がある。国策として、国内でさまざまなタイプの半導体をきちんと国内で製造し、安定的に供給する。経済安全保障面から極めて重要な政策」との考えを示しており、半導体の供給網強化に乗り出す形となった。
EnergyShift関連記事
・経産省、半導体企業に5,000億円規模の補助金か 国産半導体の安定供給を狙う
・ソニー、台湾半導体大手と570億円出資で新工場運営 政府も数千億円の支援を予定
ニュースの最新記事