ソニー、台湾半導体大手と570億円出資で新工場運営 政府も数千億円の支援を予定 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

ソニー、台湾半導体大手と570億円出資で新工場運営 政府も数千億円の支援を予定

ソニー、台湾半導体大手と570億円出資で新工場運営 政府も数千億円の支援を予定

2021年11月10日

11月9日、半導体受託生産の世界的大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、日本で初めてとなる工場をソニーグループと共同で熊本県に建設する。設備投資額は約70億ドル(約8,000億円)とされている。この建設計画は、経済産業省主導で行ってきた誘致計画の成果で、8,000億円の建設費の内、最大で50%程度を支援するとのこと。TSMCとソニーも「日本政府から強力な支援を受ける前提で検討している」とコメントしたと報じられている。日本政府から海外の個別企業に対しての支援で数千億円というのは、異例ともいえる巨額だ。

また、TSMCは工場を運営する子会社「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)」も熊本県に設立する。JASMに対しては、ソニー子会社のソニーセミコンダクタソリューションズが5億ドル(約570億円)出資し、株式の20%未満を保有する少数株主として参画する予定。約1,500人の雇用を見込んでおり、月間生産能力は300㎜ウエハー換算で4万5,000枚となる見通しだ。

新工場で生産するのは回路線幅が22nmと28nmのいわゆる「ロジック半導体」だ。最先端の半導体ではないものの、自動車や家電製品向けなどの半導体で、特に減産が続く自動車産業では需要がひっ迫している。

日本政府は今回の工場整備費への支援を念頭に、補助金の枠組みを作る見通しだ。11月7日に、民放のニュース番組に出演した小林経済安全保障担当相は「経済対策に半導体支援というのを入れるべく調整します」と述べ、11月19日にも決定する経済対策に、その支援案を盛り込むとした。支援案が通れば、今回のTSMCの新工場が第一号となり、その後は国内外の他半導体メーカーも、認定を査定する対象となる。

TSMCは半導体の総売上高で、米国のインテルや韓国のサムスンに次いで、世界3番手に位置する一大企業。6月には、時価総額がトヨタの倍の60兆円まで急騰したことで、日本でも注目を集めた。TSMCは現在、9割以上の半導体を台湾で生産しており、海外では中国に工場を持つほか、米国アリゾナ州に新工場を建設中だ。熊本の新工場が完成すれば、海外の主力生産拠点としては、3ヶ国目となる。半導体不足が世界的な問題となる中で、初期段階ながら、ドイツもTSMCに工場進出を働きかけているとされている。

ロジック半導体の安定供給が可能となれば、減産が続く自動車業界の助け舟にもなることが期待される。

EnergyShift関連記事
経産省、半導体企業に5,000億円規模の補助金か 国産半導体の安定供給を狙う
EV市場の拡大とともに成長か?国内パワー半導体企業5社の状況と株価の比較

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

ニュースの最新記事