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自動車総連に訊く 深刻化する雇用問題。解決する手立てはあるのか シリーズ:雇用とカーボンニュートラル(2)後編

2021年12月22日

脱炭素と同時に安全・安心を提供する産業に

―世界各国の自動車メーカーがEVにシフトしていく一方で、海外では新興メーカーの参入も目立ちます。とりわけテスラは時価総額においても日本の自動車メーカー全体をしのいでいます。

安部氏:テスラのEVは日本でも見かけるようになりました。ユーザーにとっては選択肢の幅が広がったと思います。車種によってはそれほど高額というわけではないという点も魅力の一つだと思います。

とはいえ、既存の自動車メーカーも手をこまねいて見ているわけではありません。それぞれのメーカーの開発も、EVだけではなく、水素エンジンや燃料電池自動車、e-fuel自動車などさまざまな方向に広がっています。また、それぞれが普及することによって価格も下がっていくと思います。

―さきほど、高齢者の話が出ましたが、自動車業界にとっては、自動運転も大きなテーマです。

安部氏:高速道路では安心して自動運転できるということですが、実際には普通運転車との混走となるのでまだ危険な面もあると思います。また、高速道路の出入り口への対応もこれからです。とはいえ、自動車メーカーの安全性重視という考えは変わりませんし、事故も少なくなっています。また、そうしたことでドライバーに喜ばれていると感じています。

―自動車業界がカーボンニュートラルに向かう中で、働く方々がしっかりと取り組んでいくためには、暮らしが守られることが必要だと思います。

安部氏:カーボンニュートラルはオールジャパンとしてしっかりと取り組むことで実現できることです。そうしないと間違ったカーボンニュートラルということになりかねません。

国には企業をしっかりと支援していただきたいと思いますし、そのことで雇用を守ることもできます。また、インフラの整備を進めていただくことも必要です。その上で、私たちは何よりも安全な自動車を提供していくために働いていきたいと思います。世界中の人々が自動車を通じて喜んでくれることが、自動車産業の使命ですし、人々の手となり足となる自動車は何よりも安全性が重視されます。そうした点では、日本の自動車は高い安全性を持っています。命を乗せているものだと認識しています。

(Interview & Text:本橋恵一、Photo:東條英里)

 

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安部輝実
安部輝実

全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長

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