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麻生氏「温暖化で米がおいしく」発言は正しいのか? 温暖化が与える「米」への影響から脱炭素社会の稲作に迫る

2021年11月05日

米は高温で美味しくなるものの、昨今の異常気象は例外

では反対に、米の栽培と温暖化とはどのような関係になっているのだろうか。北海道の米がおいしくなったのは農業関係者の努力の結晶だとしても、温暖化の影響がどのように及ぶのかは、また別の話だろう。

農林水産省のホームページでは「稲の育つときの気温が高温で日射量が多いときはアミロースの含有量が低くなり、粘りのある米が出来る」、と述べている。先述の麻生氏の「温暖化で米がうまくなった」という発言も、もしかするとレベルではあるが、元を辿ればこの内容を指している可能性もある。

しかし、ことが昨今の高気温にまで及べば、話が変わってくる。

農林水産省は2020年12月に公開した「農業生産における気候変動適応ガイド 水稲編」の中で、特に夏季の高温が厳しかった2010年と2019年に、全国の水稲うるち玄米の一等比率が大きく低下したことを発表している。また、白未熟粒や胴割粒など高温障害の写真も併せて公開している。

農林水産省は、同ガイドの中で「今後の気候変動の進行により(中略)さらに頻繁に、また深刻化することが危惧されます。」「東日本平野部から西の地域では、CO2濃度の上昇による増収よりも、さらなる高温による生育期間の短縮や高温不稔の発生の影響が上回り、減収が予測されています」とも述べている。

また、北海道においても、先の研究者が下記のように語っている。

「気候変動が進むことを考慮し、コシヒカリやササニシキの栽培実証もおこなわれてきたことは事実だが、現状はどうにか栽培することができることが確認できたレベル」だった。

米に限った話ではないが、急速に進んでいく温暖化に対応しておいしいお米を作るため、これまでになかった取り組みや労力が必要となっているのだ。

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高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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