CO2の影響による温暖化が進む中で、そのリスクを軽減し、農業経営を安定させるにはどのようにしたらよいか。農林水産省は、農業保険への加入のほか、適応策の適切な導入が必要になると述べている。
実は近年、温暖化の影響を見込んだ適応策として、高温状況下でも収量や品質の低下が発生しにくい、高温耐性品種の作付が広がっている。その割合は主食用作付品種の約9%を占めるまで普及しているのだ。
全国でも暑さが厳しいことで知られる埼玉県では、9年の歳月をかけて「彩のきずな」を開発した。2010年当時の「観測史上最も暑い夏、高温障害のアクシデントを生き抜いた“奇跡の一株”から『彩のきずな』は誕生しました」として、その高温耐久性をアピールしている。味に関しても、一般財団法人日本穀物検定協会が実施する「令和2年産米の食味ランキング」にて、最高ランクである「特A」評価を獲得しており、ブランド米の仲間入りを果たしている。
「彩のきずな」ホームページより
また、2018年に農研機構が開発した「にじのきらめき」も注目の高温耐久品種だ。コシヒカリ並みの良食味ながら、縞葉枯病への抵抗性や倒状への耐性があるとして、同品種と比べて15%程多収なこともアピールされている。現在は岐阜県や栃木県、茨城県などで栽培されているが、北陸および関東以西の幅広い地域で栽培が可能とされている。
昨今の温暖化がこのまま進めば、九州地方を中心に、高品質を示す「一等米」以上の米は収穫されにくくなるといわれており、今世紀半ばには、現在に比べて約3割低下するという報告がある。脱炭素を進めるとともに、進みゆく温暖化への適応がこれからの稲作に求められている。
「農林水産省」ホームページより
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